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コラム

トラックに負けた、貨物列車の残念な歴史杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)

地方鉄道の衰退に歯止めがかからない。再生のカギは貨物輸送にあると思うが、そのシステムは古い。鉄道事業者だけでなく、国や物流業界も知恵とカネを出して、物流改革に取り組むべきではないだろうか。

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「ISOコンテナ」「31ftコンテナ」の対応を急げ

 国鉄やJR貨物も「12ftのままでよし」と看過していたわけではない。独自規格の大型コンテナの投入もあったし、1967(昭和42)年には海上コンテナの鉄道輸送の試験を開始した。翌年からは本格的に取り扱いを始めた。1969年に40ft海上コンテナのISO規格が制定され、これに対応すると宣伝して、順調に荷扱いを増やしたという。当時はISOコンテナに対応する港が少なく、ISOコンテナに対応する港から全国への輸送需要があった。ところが、全国各地の港がISOコンテナに対応すると、それを鉄道が補完する役割がなくなった。

 鉄道JR貨物のISOコンテナ輸送の復活は、JR貨物が発足してから2年後の1989年から。横浜港と東京貨物ターミナル間で実施され、臨時列車的な扱いだった。定期貨物列車のISO対応は1995年からで、横浜で荷揚げされたビールの原料を宇都宮へ運んだ。これ以降、各地へ広がっている。


ISOコンテナ

 もうひとつの新しい流れとして「31ftコンテナ」がある。こちらは日本のトラック輸送事情に配慮したコンテナだ。日本で普及している10トントラックの荷台とほぼ同じサイズで、基本は妻面扉。ただし、側面をウィング式に大きく開くタイプもある。その扉の開閉はトラックの電源を利用できるという。鉄道側からの移行も容易で、国鉄型12ftコンテナ5個積みの貨車に2個積める。


31ftコンテナ

 ISOコンテナ、31ftコンテナの導入にあたっては、フォークリフトではなく、トップリフターという大型の作業車が必要だ。貨車についても、当初は12ftコンテナを輸送する貨車で対応していたが、2000年からISOコンテナ専用の貨車も導入されている。現在、ISOコンテナの規格は20ft、40ft、40ft背高タイプ、45ftだ。JRの貨車は20ft2個積みまで対応する。40ft、45ftコンテナは既存貨車に1個積み。無駄な積載スペースができてしまうから、専用貨車の開発が必要だ。


大型コンテナにはトップリフターが必要。架線を張った本線上では取り扱えないため、広い荷物ヤードも必要になる

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