エキナカ自販機の売上が、伸びている理由(後編):仕事をしたら“消費者”が見えてきた(5/5 ページ)
エキナカ自販機を展開し、順調に売り上げを伸ばしているJR東日本ウォータービジネス。その要因のひとつに、POSデータを分析して“お客の顔”が見えたことにある。後編ではミネラルウオーターがどのような人に買われているのか、といった点に迫ってみた。
飲料を詰める時間で売り上げが変わる
笹川:実はグリーン車乗り場の近くにある自販機には、500ミリリットルのお茶の種類を増やしています。
ちょっと余談になりますが、私が出張したときに大宮駅を利用することがありました。大宮駅の新幹線ホームの自販機でお茶を買おうと思ったら、売り切れだったんですよ。仕方がないので、隣の自販機で買おうと思ったらそこも売り切れ。ホームにある自販機すべてを確認したところ、全部売り切れていました。
あまりにもおかしいので、担当者に調査してもらいました。するとオペレーターが自販機に飲料を詰めているのは、14〜15時ごろ。この時間帯はお客さまが少ないので、作業がしやすいんですね。しかしPOSデータでは12時前後の売り上げが高かった。新幹線のホームには旅行客や出張者が多いので、昼のご飯時になれば売り切れるケースが多かった。
そこで昼前に詰めるよう変更したところ、売り上げがポーンと伸びました。今ではデータを調べれば、こうしたことはすぐに分かります。ピークの時間帯が自販機ごとに分かるので、今ではその前に飲料を満タンにするよう心掛けています。
土肥:データによって、いろいろなことが分かるようになりましたね。
笹川:いえ、まだまだですね。SuicaのIDi(発券者採番番号)や購買者属性を使った分析は、始まったばかり。「この結果から、なにが導き出せるのか」という部分は、弱い。なので、今の段階ではデータを使った仮説検証を繰り返しながら、知見を貯めていくことが大切なのかなと思っています。
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