便利な場所で災害に強い家を――震災後の住意識変化
東日本大震災では、地震やそれに伴う津波で多くの住宅が被害を受けた。その経験は、住意識にどのような影響を与えたのだろうか。住環境研究所調べ。
東日本大震災から、もうすぐ1年。地震やそれに伴う津波で多くの住宅が被害を受けたが、それは住意識にどのような影響を与えたのだろうか。
積水化学工業の研究機関である住環境研究所の調査によると、遠くにいる親族(両親や子ども)を呼び寄せたり、相手先の近くに引っ越したりと「できるだけ近くに住もうと思った」という割合は、震災前は27%だったが、2011年7月調査では32%、そして今回の2012年1月調査では39%と徐々に増加していることが分かった。
年代別にみると、60代以上では30%だったが、20代では48%と、若い世代ほど意識が高くなっているようだ。
立地についての意識は震災前と同じ水準に
持ち家の立地に関して、震災前は「多少通勤や通学に時間がかかっても万が一の災害に強い立地」に同意する割合は20%だったが、2011年7月調査では45%と急増。しかし、2012年1月調査では24%と、ほぼ震災前の水準に戻っていた。
一方、建物構造については、震災前は「構造の補強など、多少費用がかかっても地震や火事に対して、基準以上の対策を施した住宅にしたい」に同意する割合は43%で、2011年7月調査では59%、2012年1月調査では61%と増加傾向が続いていた。
住環境研究所の倉片恒治所長は「震災を契機に新たに考えるようになった帰宅困難の観点などからも、日常生活の利便性が見直される傾向にある」とコメントしている。
「持ち家を取得するとしたら重視したいこと」を聞くと、「住宅の間取り、プラン」「住み心地、快適性」「地震・台風時の住宅の安全性」「住宅取得費、価格」がそれぞれ85%で上位。
震災前と比べると、「冷暖房の費用負担などの省エネルギー対応」(7ポイント増)や「高齢者への配慮」「外部からの遮音性」(それぞれ6ポイント増)の割合が高くなっていた。
インターネットによる調査で、対象は2011年7月調査は2069人、2012年1月調査は1300人。調査期間は2011年7月15〜21日と2012年1月13〜16日。
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