震災の影響、農家の3分の1が「現在もある」
東日本大震災とそれに伴い発生した津波、原発事故は、日本の国土に大きな被害を与えている。全国の農家の3分の1は、東日本大震災による経営への悪影響が「現在もある」と認識しているようだ。日本政策金融公庫調べ。
東日本大震災とそれに伴い発生した津波、原発事故は、日本の国土に大きな被害を与えている。被災地には農業が盛んな地域も多いが、どのような影響が出ているのだろうか。
日本政策金融公庫の調査によると、全国の農家に「東日本大震災による経営への悪影響」について尋ねたところ、「現在もある」が31.4%、「以前はあったが、今はない」が23.0%、「今までない」が45.6%だったことが分かった。
地域別に「現在もある」の割合をみると、震災の直接的な被害が大きかった岩手・宮城・福島では71.4%に達しており、直接的被害はそれほどなかった西日本では10〜20%台だった。業種別にみると、「肉用牛」が77.8%と最も高くなっており、「きのこ」(50.0%)や「酪農」(49.7%)が続いた。一方、「稲作」(20.1%)や「畑作」(22.9%)は限定的な被害にとどまっているようだ。
最大の悪影響は「販売価格の下落」
「現在もある」と答えた農家にその内容を聞くと、最も多かったのは「販売価格の下落」で74.4%。以下、「風評被害」が60.5%、「出荷流通の被害」が33.0%、「資材仕入れの被害」が27.1%、「生産部門の被害」が23.2%で続いた。
地域別にみると、東北や関東では「風評被害」の割合が最も高く、それ以外の地域では「販売価格の下落」の割合が最も高くなっていた。業種別では、ほとんどの業種で「販売価格の下落」が最も高かったが、稲作や茶では「風評被害」、ブロイラーでは「生産部門の被害」が最も高かった。
郵送による調査で、対象は農業経営基盤強化資金または農業改良資金の融資先である2万1485件。調査時期は2012年1月。
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