“広告新聞”じゃダメ、こんなニュースサイトが欲しい!:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
アクセスはしやすいものの、情報の深堀りといった意味では不満が残ることも多いニュースサイト。どんなニュースサイトが読者に優しく、収益もあげられるのか、考えてみた。
ニュースサイトに経営モデルの変革を
最大のポイントは、Webのイノベーションを取り入れながらジャーナリズムの独立性を堅持したことである。
The AtlanticのWeb版のトップに「Follow the Atlantic on Twitter! / Join the Atlantic on Facebook!」がある。ニュースサイトはトップから読まれるとは限らず、ソーシャルメディア経由も多い。誌面への流入は“記者”からでもある時代、多くのフォロワーを持つライターの署名記事には力がある。では、記者が良い記事を書くための理想形は何だろう?
「新聞社はエージェンシーになるのがいいと思います。記者に投資をするタレントマネジメント会社。個を立てれば読まれる記事が増える。記事ごとに収入を得る“マイクロペイメント”の仕組みも広がります。読者からダイレクトに購読料をもらう、これがニュースサイトの本来の姿ではないでしょうか?」(長谷川さん)
今のところ日本でマイクロペイメントができそうなのは、はてなポイントがある「はてな」、記者の個が見えるのはTechCrunchなどテクノロジーメディアくらい。だが、それも社内の壁、グループ部門の壁を壊せば広がるだろう。例えば、朝日新聞だけでなく、AERAやテレビ朝日の動画が一緒に購読できるなら喜んでお金を払う読者はいるはずだ。
100年を越える新聞の伝統、その本質は「情報を多くの人に伝えること」(長谷川さん)。そこから出発すれば収益のあがるWebニュースサイトの突破口も見つかる。
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