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コラム

“私的援助”にみる市場原理ちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

政府などが配分を決める公的援助とは異なり、個人が援助先を直接選べる“私的援助”。そのため、援助先は偏りがちになりますが、私的援助を集めやすい分野にはどのような特徴があるのでしょうか。

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この市場の“強者”は?

 ざっと考えたところ、この市場における“強者”とは……。

(1)子ども

 自己責任を問いにくい、高齢者や中高年に比べてかわいい、素直に喜ぶ(せっかくの援助に対して小難しいコトを言わない)、などさまざまな理由のため、子どもは圧倒的な強者です。

 一部の途上国では、日本人観光客が集まる場所に連れていく赤ちゃんを“物乞い”の人に貸してくれる商売があると言われますが、この市場での子どもの圧倒的な競争力を考えれば、そういった商売が出てくるのも自然なことです。

(2)見た目が良いもの

 ほかの市場と同様、ここでも「見た目」は重要です。この市場で最も好まれる見た目とは、みすぼらしいが、汚くはないもの、素直で純粋に見え、ひねていないもの、寄付者より優れている点は1つも見つけられない、かわいそうなものなどです。

(3)高尚な寄付項目

 中には「教育費なら寄付してもいいが、生活費に消えるなら嫌だ」という人がいます。何か高尚なことに貢献したいと考える人たちが多いのです。

 高尚な寄付項目には国ごとに違いがあり、日本人が好きな市場は“教育”ですが、欧州ではイルカやクジラなどの“ほ乳類”や“環境”、米国では“人権”や“アート”も競争力が高い市場です。

 この法則を利用した寄付募集例としては「途上国では給食が出るから、子どもたちは学校にやってくるのです」というキャッチフレーズで、競争力のある“教育”というキーワードを前面に出しつつ、なかなか寄付の集まりにくい“食費”を集めることに成功した事例も存在します。

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