検索
連載

「南京事件はなかった」という河村市長を、黙らせたのは誰だ?新連載スタート・窪田順生の時事日想(5/5 ページ)

「南京事件」についていくらバッシングを受けても発言撤回や謝罪をしなかった河村たかし名古屋市長が突然、口を閉ざした。そこにはどんな力が働いたのか。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

ロスの高校生たちが学ぶ「日本は40万人虐殺した」

 広島長崎の原爆で亡くなった人を上回る「30万人虐殺」についてはいまだに議論があるが、ひとつ言えるのは、河村たかしを黙らせたり頭を下げさせたところで、問題の本質はなにも解決されないということだ。マスコミは報じないが、実は河村たかしが南京市と討論会をやろう と思い立ったのには、彼なりの「大義」がある。「かんべんしてちょうよ」とインタビューを断る数日前、市長は私にこんなことを言った。

 「一昨年、姉妹都市のロスから“ミス二世”のキレイな女の子が表敬訪問に来たんですけど、彼女に『日本は南京に残忍なことをした。市民を40万人も殺したんですよね』と言われた。市で調査したら、あっちの高校の副読本に確かにそう書いてある。中国より米国の方が増えてんだ。こういうところをハッキリさせんで真の友好なのか」

 今の子どもたちが大人になる頃、この数字は50万人に膨れ上がるかもしれない。取引先を守るというのは商売人の鉄則だが、未来を見越して動くというのもまだビジネスなのではないだろうか。

(一部敬称略)

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る