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コラム

“作られたスクープ”の裏にあるもの――それは企業の巧妙な手口相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

電車の中吊り広告で「独占スクープ!」といった刺激的な見出しを目にした人も多いはず。しかしこの「スクープ」の中には、読者を煙に巻くようなものも含まれている。それは企業がからんだ“作られたスクープ”だ。

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 なぜネタ元がブツを提供してくれたかといえば、「不良債権のごまかしを続けるのは絶対に日本や企業にとって悪いこと。根絶やしにする必要がある」との動機があったからだ。

 役所の汚職、あるいは不正の類いに関するスクープの多くが、同種の義憤にかられた内部関係者によるタレコミだと筆者は推察する。

 巨大ダムの壁に生じた小さな水漏れが、ダムそのものを破壊するような社会問題に拡大するのもこのようなタレコミ型スクープだ。

巧妙化する戦略

 だが、社会に送り出されるスクープの型はこの2つだけではない。義憤をエネルギー源にした告発型ではなく、相手を貶(おとし)めるために使われるタレコミだ。

 このパターンは、「芸能ニュースでは一般的」(週刊誌副編集長)。利害が絡んだ芸能事務所だったり、特定のタレントに私怨を持つ別のタレントがスキャンダルに関するネタを意図的にリークする方法だ。

 写真週刊誌や女性誌に載るスキャンダル型のスクープが典型例だといえる。だが、この方法はなにも芸能マスコミだけでなく、お固い一般紙や老舗と呼ばれるような週刊誌上の記事にも用いられている。

 大分前に当欄でも触れたが、筆者にも経験があるのが同一系列企業グループ内のお家騒動などのケース(関連記事)。特定の財閥名を冠した企業同士は存外に仲が悪く、頼んでもいないのにスキャンダルのネタをリークされた機会は多数に上った。筆者が考えるに、近親憎悪的な感情が大企業間で働くのだ。

 だが、最近はもっと手法が巧妙になっているのだ。その一端を最後にご紹介しよう。

 「ある企業が口の堅い書き手を探している」――。

 過日、人づてにこんな話を耳にした。詳細は記せないが、ある大手企業が告発記事をメジャーな媒体に載せようと試みているのだ。

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