上司から部下だけじゃない!? 誰のためにパワハラを防止するのか(3/3 ページ)
1月末、厚生労働省が初めてパワハラの定義を公表しました。上司から部下へのいじめ・嫌がらせと言われていたパワハラだが、部下から上司もあり、同僚から同僚へもあるとのこと。さて、パワハラ防止とは弱者保護のためのものなのでしょうか?
「誰が言ったか」「どう言ったか」が大きい
ある大手企業の社長だった男性にパワハラやセクハラについてどう思うかお聞きしてみました。すると、「部下がそれを外部に訴えた時点で自分の社内における成長をストップすることになるんだと分かっているのかな?」とのこと。これもパワハラ防止が弱者保護と感じているための言葉なのかもしれないと感じました。
どちらにしても、外部に相談する前にちゃんと自分自身を相手に伝えることは、上司であれ、部下であれ、取引先であれ、夫婦間であれ、重要なことです。と同時に、相手が言いたいことをキャッチし理解することも重要です。
そのために、言語情報である言葉をしっかり使いこなすとともに、言葉以外の情報である非言語情報と言われる表現を使いこなすことが問われる時代なのです。謝罪会見の「申しわけございません」という同じ言語情報でも、どんな表情で、どんな声で、どんな動作で発したのかによって、聞いている方の受け取り方が変わります。謝罪の気持ちがあるかないかを相手は非言語情報から感じ取るのです。
さらに、どんな服装を着ていたか、ちゃんと身だしなみの整った髪型だったかまでを人々は見て、多くの情報を受け取っているのです。
セクハラ、パワハラのタブー用語は何かなどと聞かれますが、実はセクハラもパワハラも、「何を言ったか」ではなく、「誰が言ったか」「どう言ったか」という非言語情報による影響の方が大きいことをここで声を大にして言っておきたいと思います。
あいつも言ってるんだから自分もいいだろうと思った時点で大きな間違い! 気が付けばパワハラ上司として訴えられ、会社を辞めることになってしまった! そんなこともあり得る時代です。
パワハラ防止を考えることは弱者保護ではなく、自分は強者と思いこんでいる古き良き時代を引きずっている「似非強者」の是正、一方で部下を思う愛すべき熱血上司の保護として必要なのかもしれないと感じる今日このごろです。(唐澤理恵)
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