コラム
鉄道からバス転換で浮かび上がる、ローカル線の現実:杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)
JR東日本は岩泉線のバス転換方針を発表した。鉄道復旧を望む地元は落胆し、やがて反発へ向かうだろう。プレスリリースにはローカル鉄道の厳しい現実を示しているが、奇跡の復活はあるのだろうか。
130億円を負担できない、とJR東日本が表明した以上、次の展開は自治体側の決断になる。岩手県、宮古市、岩泉町の動向が注目される。
しかし私はJR東日本の被災路線について、国がもっと積極的になってほしいと思う。JR東日本は東日本大震災の被災者でもあり、被災したにもかかわらず、新幹線復旧に心血を注ぎ、しかもその運賃は大幅に値引きして、被災者の避難輸送、ボランティアの輸送に協力してきた。
しかも、原発停止による電力不足の夏に、首都東京に電力を供給した。国の危機を救ったともいえる。これだけのことをしてくれた会社に対して、国から「形の見える見返り」があってもいいのではないか。
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被災地では、いまだがれきが山積みのままだ。現在、がれきをトラックで運び出しているが、何台のトラックが必要になってくるのだろうか。効率を考えれば、鉄道の出番となるのだが……。
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