「ジョブズになれると思うな!」――成毛眞が語る、きっと変革者になれない人の人生論:New Order ポスト・ジョブズ時代の新ルール(2/3 ページ)
「次のスタンダードを作るのは、あなたでもなければ、あなたの周りにいる誰かでもない」。ジョブズやビル・ゲイツなどを間近で見続けてきた成毛眞氏はそう断言。それよりも時代を作る人を見つけて、早く近くに行くべきだ、と主張する。
日本のエンジニアはそのダサいセンスを何とかした方が良い
なぜジョブズがハードウエアにこだわったかといえば、単純にハードが好きだからだと思います。
実はジョブズも、ビル・ゲイツも、僕と同じ1955年生まれですが、僕らが子どものころにはコンピュータがなかった。だからソフトウエアが好きとか嫌いとかの前に、基本的にハードしか知らない世代なんです。
むしろ、この世代で子どものころからソフトウエアが大好きなビル・ゲイツの方が例外ですね。彼は、まさに絵に描いたようなソフトウエアエンジニアでしたから。
そのジョブズが作ったハードは、確かに優れたものでした。プラスチックで覆われたPCや携帯電話が出回っている中、削り出しのアルミを使ったアップル製品はやはり人目をひく。持った時の重さだったり、感触だったり、ハードウエアという文字通りの“ハード”な感触は素晴らしいと思います。
デザインへのこだわりを貫いたのは、ジョブズの功績の1つです。それに対して、日本のハードウエア製品のデザインはまったくピンとこない。PCも、家電も、クルマにしても。
ソフトウエアも同じです。日本のソフトウエアは、オープニング画面から雑然としていて、アイコンもごちゃごちゃとくどい。あのすっきりとした鳥のマークを見れば一発でTwitterだと分かるのに対して、センスが感じられないものが多いですね。
こうなってしまうのは、日本人向けに作っているからです。680円に真っ赤な「×」をつけて600円と上書きしているような小売りの店頭POPを見ると、デザインに対する日本人の感性を疑わざるを得ません。アメリカでは「×」をやめて、「Everyday Low Price」としたわけです。
エンジニアはもっとデザインを学んだ方が良い。身に付けるものや遊びに行く街から見直すべきだと思うけれど、せめて自分が作っているものだけでも格好良さを追求してほしい。見栄えだけではなくUIもそうだし、ロジックにも美しいものとそうでないものがあります。
日常的に意識を持って仕事をしていけば、センスは磨かれていくと思いますし、そのうち誰かの目に留まるかもしれない。デザインに秀でたエンジニアは、うまくすると米国や欧州の会社がスカウトしにくるかもしれませんよ。
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