企業の7割超、「割高でも非常用電源のあるビルがいい」
東日本大震災で改めて注目されることとなったビルの耐震性。企業のビル選びにはどのような変化が生じているのだろか。森トラスト調べ。
東日本大震災で改めて注目されることとなったビルの耐震性。数年内の首都直下型地震の可能性についても報道されているが、企業のビル選びにはどのような変化が生まれているのだろうか。
森トラストの調査によると、同社運営ビルのテナント企業に「ビル選定の際の重要項目」を尋ねたところ、必須条件として挙げた割合が最も高かったのは「管理・防災体制が整備されている」で49.3%。以下、「地盤の安全性が高い」が42.9%、「電気供給に対する不安が少ない」が39.6%、「水害に対する安全性が高い」が37.6%、「交通インフラが冗長である」が35.4%で続いた。
地域別にみると、仙台エリアでは全体的に割合が高くなっていたが、特に「水害に対する安全性が高い」を必須項目とした割合が52.2%と、全体より14.6ポイントも高くなっていた。
福島第一原子力発電所事故後、東京電力管内では計画停電が行われた。その際、自家用発電機を備える六本木ヒルズなどが注目を集めたが、「望ましい非常用電源対応」として「平時と同等の電力供給(自家用発電機)」(44%)や「平時の半分の電力供給(非常用発電機)」(48%)を求める声が多かった。
非常用電源対応と賃料の関係を見ると、「ある程度高くても選定対象」(7%)と「多少高い程度なら選定対象」(65%)を合わせて、72%は割高でも選定対象としていた。
多少コスト高でも安全性に優れたビルを
緊急事態に備えるために策定するBCP(事業継続計画)。ビル選定基準として、震災前は「BCP対応最優先」は4%だったが、震災後は34%と大幅に増加。特に仙台では震災前の10%から、49%と39ポイントも増加していた。
森トラストでは「リーマン・ショック以降の賃貸オフィス市場ではコスト削減を目的とする移転が大勢を占めていたが、震災後は多少コスト高となっても安全性に優れたビルを選択する傾向が強まっている」とコメントしている。
郵送による調査で、対象は東京、大阪、仙台の森トラスト運営ビルに入居中のオフィステナント企業303社(東京216社、大阪40社、仙台47社)。
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