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なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか:新連載・どうなる? 鉄道の未来(1)(4/7 ページ)
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。
「着席サービス」にこだわる鉄道会社
――鉄道会社は「自由席」をつくりたくない理由があるのでしょうか?
杉山:自由席を作りたいか作りたくないかというよりは、着席サービスにものすごくこだわっていますね。とにかくお客さんには、座って移動してもらうという考えが強い。
自由席というのは「席」なのですが、繁忙期になれば立っている人も受け入れる「車両」。立ったままの移動と、座ったままの移動、どちらがいいかといえば、もちろん「座ったままの移動」。しかしこの考えは、長距離に限っての話だと思いますね。
大塚:あと自由席を設けない理由として「効率化」と「利益率拡大」がありますよね。JR東日本の新幹線の場合、指定席であれば改札を通った瞬間に、お客さんが乗った情報を管理することができます。そうすれば声をかけて検札する必要がなくなるので、乗務員を削減することができます。
杉山:JR東日本は新幹線の車内検札をやっていませんしね。
ところで、海外の高速列車はどうなっているのでしょうか?
大塚:ドイツで高速鉄道のICE(インターシティ・エクスプレス)の指定席券を購入して乗車しました。そのときに驚いたことは、座席の窓の上に電光表示が設置されており、乗客がどこからどこまで移動するのかが表示されていました。
杉山:車内でですか? すごいですね。
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