「鉄道ファン=良い客じゃない」――この構図にしたのは、誰か:どうなる? 鉄道の未来(3)(6/6 ページ)
「鉄道ファン」といっても、いろいろある。例えば、列車の撮影を趣味とする「撮り鉄」、走行中の列車を録画する「録り鉄」など。しかしこうしたファンは、鉄道会社にとって悩ましい存在なのかもしれない。その理由は……。
大塚:であれば駅のホームで売ればいいんですよ。昔の制服姿で売って回れば、かなり売れると思いますね。
杉山:千葉都市モノレールに新型車両が導入されることを聞いて、千葉に行ってきました。動物公園駅にポスターが貼ってあって、そこには「近所の小川に魚が帰ってきました」と書かれていました。現地の人に聞いたところ、このように言っていました。「もともとそこは生活用水だったけれども、汚れていたのをみんなでキレイにした。そうすると、魚が戻ってきた」と。
この話を聞いたとき、うまくやれば観光資源になるのになあと思いました。観光資源って掘れば掘るほどたくさん出てくると思うんですよ。新型車両だけでなく、地域のモノを発掘して見せてあげれば、もっとお客さんは来ると思います。
大塚:日暮里・舎人ライナーの終点にある見沼代親水公園も、コイなどが泳いでいてきれいな公園でしたね。
杉山:散歩道もいいですよね。
大塚:こうした都市部に近いところに眠っている需要を掘り起こせば、まだまだもうけるチャンスはあるはず。
杉山:街を歩くだけで楽しくなるスポットは、たくさんありますよ。しかも駅の近くに。ビジネスになるモノを掘り起こす素地はたくさんあるのに、鉄道会社は見逃している。本当にもったいないなあと思いますね。
(続く)
プロフィール
大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社編集局経済部記者・携帯電話向けニュースサービス「NEWSmart共同通信」の週刊鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」執筆者。
1973年4月、東京都生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。97年4月に共同通信社に記者職で入社し、松山支局、大阪支社経済部を経て2006年5月から編集局経済部。国土交通省記者クラブキャップを2年間務めるなど運輸業界の取材経験が長く、鉄道関連記事を多く手掛けている。新幹線300系と100系の12年引退を10年5月に、今春の特急「あさぎり」からの371系引退を昨年10月にそれぞれ他社に先駆けて報道した。休日は、父親以上に熱心な鉄道ファンである息子と一緒に鉄道旅行に出掛けることが多い。共著書に『ジャーナリズムのいま』(みずのわ出版)などがある。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
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