駅ナカビジネスは好調だが、問題もある:どうなる? 鉄道の未来(4)(6/6 ページ)
駅ナカビジネスが好調だ。夕方のラッシュ時だけでなく、休日にもたくさんのお客が訪れている。これまでにない新ビジネスが好調なのはいいことだが、問題点を指摘する声が出てきた。それは……。
杉山:ひとつの転機になったのが、鉄子ブーム(関連記事)。あのブームで、鉄道好きをカミングアウトする人がたくさんいたのはよかった。
大塚:これは私見になりますが、「自分はクルマが好きだ」という人は、あまり“迫害”されません。でも「自分は鉄道が好きだ」と公言すれば、あの人は変わった人だなという目で見られてしまう。あの目は……やっぱりおかしいですよ。
杉山:少しずつ変わってきているのではないでしょうか?
大塚:もっともっと変えていかなければいけません(笑)。クルマと鉄道、環境にいいのはどっちなんだ? ということをもっともっと問いかけていきたいですね(笑)。
ただ鉄道の写真を撮るために、クルマで現場に乗り付けて、いい写真が撮れればそれでおしまい。こうした“撮り鉄”は、同じ愛好家としてやめてもらいたいですね。もしクルマで来るのであれば、駐車場にきちんと止めて、何駅か乗ってみる。乗る時間がなければ、せめて売店で何かを買う。売店で買いたいものがなければ、地域の店で買う。そうした努力は意図的にしてほしいですね。
(続く)
プロフィール
大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社編集局経済部記者・携帯電話向けニュースサービス「NEWSmart共同通信」の週刊鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」執筆者。
1973年4月、東京都生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。97年4月に共同通信社に記者職で入社し、松山支局、大阪支社経済部を経て2006年5月から編集局経済部。国土交通省記者クラブキャップを2年間務めるなど運輸業界の取材経験が長く、鉄道関連記事を多く手掛けている。新幹線300系と100系の12年引退を10年5月に、今春の特急「あさぎり」からの371系引退を昨年10月にそれぞれ他社に先駆けて報道した。休日は、父親以上に熱心な鉄道ファンである息子と一緒に鉄道旅行に出掛けることが多い。共著書に『ジャーナリズムのいま』(みずのわ出版)などがある。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
関連記事
- なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。 - 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。 - 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。 - なぜ駅にホームドアの設置が進まないのか
駅ホームからの転落事故が後を絶たない。自殺や携帯端末の注視など理由は多岐にわたり、対策はホームドアや点字ブロックの改良が主だという。しかし、私たちは最も効果的な解決策を持っている。心だ。 - 向谷実氏が考える鉄道と音楽(前編)――発車メロディ3つのオキテ
「カシオペア」のキーボーディストにして、リアルな鉄道ゲームソフトの開発者でもある向谷実氏が、ここ数年作曲家として取り組んでいるのが駅の「発車メロディ」だ。「ただベルがメロディに変わっただけではない」という向谷氏が考える“あるべき発車メロディ”の姿とは? - 電車やバスで不快に感じる行為は?
マクロミルの調査によると、電車やバスの車内で携帯電話をマナーモードに切り替える人は96.0%にも達したが、優先座席付近で電源を切る人は38.8%。携帯電話の電源を切らない人の理由として「忘れてしまう」「面倒」といった意見が多かった。 - 過去最悪! “鉄道自殺年間647件”が道連れにしているもの
ここ数年増加しており、2008年度には過去最悪の件数となった鉄道自殺。首都圏の鉄道では毎日1件の自殺騒動が起こっている計算になるという。なぜ人は鉄道自殺をするのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.