危機に瀕する地方鉄道に、打つ手はあるのか:どうなる? 鉄道の未来(7)(6/6 ページ)
地方鉄道が危機に瀕している。もちろんすべてではないが、地方経済の疲弊や人口減などを背景に、鉄道の利用客が減少傾向にある。こうした事態に、打つ手はあるのだろうか。答えは「ある」。
杉山:自民党政権はローカル線再生の施策として「地域公共交通再生・活性化法」をつくっていました。しかし民主党によって、“仕分け”られました。残念ながら。自民党政権だって国鉄赤字問題の時はローカル線を廃止しました。しかし近年はローカル線問題に取り組み、地方鉄道の廃線の話がなかったんですよ。むしろ、若桜鉄道や福井鉄道など、地域と一体となった活性化事業が生まれました。しかし、民主党は事業仕分けで地方鉄道の補助政策を打ち切ってしまった。
その結果として、十和田観光鉄道や長野電鉄屋代線など廃線の話が相次ぎました。民主党は野党時代から交通基本法を提案していて、人々の移動する権利を提案していたんです。その志はどこへ行ってしまったのか。政権を担って以降は動きが止まったままになっています。
大塚:地方鉄道が廃線になれば、陸の孤島になるところが多い。いや、そんなところばかりと言ってもいいですね。地元住民の足となり、観光客を呼び込むツールとなる地方鉄道の役割はとても大きく、レゾンデートル(存在価値)は決して薄れていないと確信しています。
何とか生き残れるようにわれわれ鉄道愛好家も乗るために訪れたり、記念乗車券やグッズを購入したりして後方支援してあげるべきではないでしょうか。
(続く)
プロフィール
大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)
共同通信社編集局経済部記者・携帯電話向けニュースサービス「NEWSmart共同通信」の週刊鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」執筆者。
1973年4月、東京都生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。97年4月に共同通信社に記者職で入社し、松山支局、大阪支社経済部を経て2006年5月から編集局経済部。国土交通省記者クラブキャップを2年間務めるなど運輸業界の取材経験が長く、鉄道関連記事を多く手掛けている。新幹線300系と100系の12年引退を10年5月に、今春の特急「あさぎり」からの371系引退を昨年10月にそれぞれ他社に先駆けて報道した。休日は、父親以上に熱心な鉄道ファンである息子と一緒に鉄道旅行に出掛けることが多い。共著書に『ジャーナリズムのいま』(みずのわ出版)などがある。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。
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