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コラム

「鉄道ツアー」のカラクリは、このようにできている杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)

鉄道ファンのなかでも「乗り鉄」と呼ばれる人々はきっぷの知識に詳しい。時刻表を熟読しているから日程も自分で作れる。日本旅行は、そんな旅の達人を相手にあえて「鉄道ツアー」を仕掛けている。そこには従来のパックツアーの常識を覆す仕掛けがあった。

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 もうひとつ。団体旅行でありながら、個人の自由を尊重するプランが重要だという。宿泊ツアーの場合は、必ず個室、シングルルーム利用のオプションを用意しておく。一般の温泉旅行ツアーは夫婦やグループ参加が多いため、基本的には2人部屋を組み合わせる。しかし鉄道ツアーは「おひとりさま」が多い。旅館でもシングル利用がカギとなる。

 「ひとり2座席利用」というオプションもある。1人参加でありながら窓側、通路側と並んだ2座席を提供する。他人と相席しないで気兼ねなく過ごせるし、隣の席にカメラバッグを置いて作業に使えるため好評だという。こうした「かゆいところに手が届く」サービスを用意して「ツアーに参加してよかった」「ツアーのほうが楽しい」と評判になり、鉄道ファンを獲得してきた。

 旅行業界はツアーバスの台頭や格安航空会社(LCC)の就航など低価格志向となっている。チケットや宿のオンライン販売も普及してきた。オーダーメイドの旅を自分で作れる時代に、パックツアーとはどうあるべきか。サービスのあり方が問われている。


停車駅で撮影タイムを設ける。鉄道ファンはダイヤ順守を心得ており、進行はスムーズという
(写真提供:日本旅行)


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