“自分の表現法”と出会う:ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)
「プログラミングを知ったことで、自分に適した表現方法に出会えた」というphaさんの言葉をきっかけに、世の中に存在する表現方法の多様さに改めて気付いたちきりんさん。自分に合った表現方法を探すことが大切ではないかということです。
書き言葉が得意でなくても
ちきりんは「テキスト、書き言葉」という比較的一般的な表現方法で自分を表すことが得意でした。小さいころから作文はよく入選していたし、文章を書くことが大好きで、日記をずっと書いてきました。テキストという一般的な表現ツールが自分に合っていた私のような子どもはとてもラッキーです。
でも、そうでない子もたくさんいます。自分に合った表現方法が見つからなくて、周りに自分のことが理解してもらえなかったり、自分自身が自分をうまく扱えなかったりすると結構つらいです。
わかってもらうことをあきらめたり、拒絶したり、絶望したりするかもしれない。時には暴力や、“閉じる”という行動によって、それを表現することになるかもしれません。
当然だけど、表現方法の幅よりも、人間の心の中にあるものは圧倒的に多彩で多様です。だから、それを100%表現するのは誰にとっても不可能でしょう。だけれども、できる限りそれらを具現化することにより、個々人の疎外感という不幸を減じる大きな力にはなるはずです。
だからそのツールとなりうるものは、できるだけ多く、早い時期に体験できるよう、小学校などで触れる機会があればいいなと思います。
それとその際、「表現方法を探す」ことを明示的な目的として認識させれば、より生産的とも思います。
言葉で表現できない感情を抱える(認識する)というのは、「誰も俺を分かってくれない!」わけでも、「コミニケーション能力が低い」わけでもなく、自分に最適な表現ツールをまだ手に入れてない(出会っていない)だけだと教えるのです。そして、その手段を手に入れるために、いろいろ試してみればいいのよと、言ってあげるのです。
今もしあなたが、「誰にも伝えられない、分かってもらえないことがある」と感じているとしたら、それはもしかしたら「それを伝える“自分の表現法”とまだ出会っていないから」なのかもしれません。
そんじゃーね。
『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』(大和書房刊)
ちきりんさんによる新刊『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』が5月19日に発売されました。
崩壊前のソビエト連邦から東南アジア、アフリカまで、数十カ国を旅したちきりんさん。世界を旅しながら、考えたことをまとめています。ちきりんさんによる紹介エントリはこちら(「PR)世界を歩くと、ホントにいろいろ考える……」)
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。
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