タバコのポイ捨てから「自分が売るもの、顧客が買うもの」を学ぶ(1/2 ページ)
仕事からの帰宅途中、リフォーム工事をしている住宅で、たばこのポイ捨てをしている作業員を見かけた筆者。そこから、そのリフォーム会社の「自分は何を売っているのか?」「顧客は何を買っているのか?」についての意識の低さが垣間見えるといいます。
著者プロフィール
荻野永策(おぎの・えいさく)
株式会社ALUHA社長。Javaプログラミングができるマーケティング、営業戦略コンサルタント。1979年兵庫県西脇市生まれ。金沢工業大学でJavaを用いたソフトウェア加工学を学び、2001年情報処理学会北陸支部優秀学生賞を受賞。大学院を経てALUHAを起業。
今年2月ごろの話です。仕事からの帰宅途中、リフォーム工事をしている住宅の前を通りかかりました。具体的にどんな工事をしているのか、どこの会社なのかまでは分かりませんが、歩きながら見ていると、リフォーム工事の作業員が一服のためか、たばこを吸っていました。そして、その後、そのたばこを雪の中に突き刺し、そのままポイ捨てしたのです。
ここで、問題視しているのは、たばこのポイ捨てという行為だけではありません。客先で、しかも客の敷地内にたばこを捨てるなど、言語道断だと思いますが、それ以上にこのリフォーム会社は、「自分たちが何を売っているのか」「顧客は何を買っているのか」を理解していないと思います。
自分は何を売っているのか? 顧客は何を買っているのか?
このたばこのポイ捨てから、「自分は何を売っているのか?」「顧客は何を買っているのか?」を学ぶことができます。
リフォーム会社の場合、顧客は新しくてきれいになった住宅を手に入れたくてリフォームを依頼しています。つまり、「きれいで新しい住環境」が欲しいわけです。当たり前のことです。その手段としてリフォームがあるのですが、この作業員はそんなことをまったく考えていないようです。「自分たちはリフォームを完了させるのが仕事である」と考えているようです。
もし、顧客が本当に欲しいもの(きれいな新しい住環境)に気が付いているならば、顧客の敷地内に、たばこを捨てるような行為は決してしないでしょう。なぜなら、きれいな環境が汚れてしまうからです。
顧客の気持ちになってみましょう。工事完了後、きれいになった住宅を、うれしそうに、笑顔になりながら見回っている時、雪の中からたばこの吸い殻が出てきたらどう思うでしょうか? きれいにしたはずの住宅が、早速汚れていのです。しかも、犯人は明確。リフォーム会社しかいません。特にそのお客さん一家がたばこ嫌いな一家だったらなおさらでしょう。
リフォームの工事は終わっているので、リフォーム会社としては、仕事が完了しています。しかし、お客さんは違います。工事の終了時こそが、新たな生活の始まりです。それにこのリフォーム会社は気が付いていないようです。
これは作業員レベルの問題ではなく、企業としての品格の問題もあるように思います。リフォーム会社として、「自分たちが何を売っているのか?」「顧客は何を買っているのか?」に気が付いていれば、従業員のこのような行動は起こり得ないはずです。
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