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“記事コピー”は日常茶飯事……マスコミの根っこに潜む闇とは相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

「記者が記事を書くときに、コピペをするなんて信じられない」……そう感じる読者も多いのでは。しかし、内実はちょっと違う。時事通信社の一連のコピペ騒動を例に、マスコミの内実に紹介する。

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 このニュースが流れたあと、私はFacebookやTwitterをチェックしてみた。ごくごく一般の読者の反応は、「コピペなんてけしからん」が大半だった。確かに、記者としてあるまじき行為であることは明白なのだが、業界内部を知る者としての率直な感想は「あーあ、やっちゃった」なのだ。

 真面目な読者からお叱りを受けそうだが、こうした行為は時事だけの問題ではなく、業界全体で日常茶飯事なのだ。

 極論すれば、「共同」の文字を取り損ねた当該記者、そしてこれを見逃したデスクと整理部デスクは、限りなく運が悪かった、ということなのだ。

 さらにお叱りを受けそうなことを記したが、詳しくは次の項をお読みいただきたい。

読者を向いていないマスコミの内情

 「さっきの発表モノ、普段よりも遅めにデスクに原稿上げてくれないかな」――。

 今から10年ほど前のことだ。某官庁の統計発表に関する会見に出たあと、私は日本経済新聞のベテラン記者からこんな言葉をかけられた。

 当時の私は通信社記者だ。ニュースの卸売りが通信社の役目。地方紙やテレビ局が配信記事を待っているため、日頃から早めに記事をまとめるよう口うるさく上司から言いつかっていた。

 この日もこの旨をベテラン記者に伝えたのだが、相手は苦笑いしながらこう返答したのだ。

 「時事さんの記事が配信されると、デスクがそれに沿ったトーンで書けってうるさいからさ」――。

 この言葉の中で、「それに沿ったトーンで書け」という箇所が本稿のミソだ。

 “経済報道の雄”である日経でさえこの状態なのだ。もちろん、他のテレビ局も記者の自社の原稿をチェックする管理職「デスク」という存在は、常に他社がどのようなトーンで書いたかを気にするのだ。

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