コラム
鉄道会社が夏休みにもうける方法:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
鉄道業界で夏休みの風物詩といえばスタンプラリー。通勤通学客が激減する時期の増収策だ。その参加者数と経済規模は、駅からさんぽイベントを圧倒する。
全国の鉄道でスタンプラリーを開催中
今年、7月〜8月にかけてスタンプラリーを開催する鉄道は約30社。このうちポケモンはJR東日本の東京地区と仙台地区、JR北海道、名古屋鉄道、JR西日本の4社5地域。鉄道スタンプラリー元祖の東急電鉄は、ゲームソフト「ファイナルファンタジー」とタイアップしているほか、東急池上線の開業90周年を記念したスタンプラリーも開催中だ。
いまやスタンプラリーは鉄道会社にとって魅力的な事業になった。参加する子どもたちにとっても、思い出づくり、家族や友だちとのお出かけ、鉄道利用という社会参加の場として良い機会になっていると思う。鉄道ファンのひとりとして、鉄道会社にはもうかってほしいし、たくさんの子どもたちに鉄道を好きになってもらいたい。
願わくは、電車で移動中にはゲームの画面を見ず、車窓を眺めてほしい。スタンプラリーはいわば、小さな旅だ。車窓からの発見が、さらに遠い場所へ向かう大きな冒険心に変わるかもしれない。それは、スタンプラリーの経済面以外の大きな可能性だと思われる。
関連記事
- 中国高速鉄道で、また事故が起きるかもしれない
2011年7月23日、中国浙江省温州市で起きた高速鉄道の転覆事故から1年が経過した。中国政府は市民の批判を恐れて報道を規制しているという。しかし、本当に恐れるべきは批判ではなく、事故の再発だ。 - 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。 - 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。 - なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。 - JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を
被災地では、いまだがれきが山積みのままだ。現在、がれきをトラックで運び出しているが、何台のトラックが必要になってくるのだろうか。効率を考えれば、鉄道の出番となるのだが……。 - 向谷実氏が考える鉄道と音楽(前編)――発車メロディ3つのオキテ
「カシオペア」のキーボーディストにして、リアルな鉄道ゲームソフトの開発者でもある向谷実氏が、ここ数年作曲家として取り組んでいるのが駅の「発車メロディ」だ。「ただベルがメロディに変わっただけではない」という向谷氏が考える“あるべき発車メロディ”の姿とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.