職選びを“乗り物”に例える(2/2 ページ)
乗り物の好みは人さまざまだ。安定した運航で遠くまで連れていってくれる大型船がいいという人もいれば、目の前の岩山を、オフロードバイクでケガを承知で駆け上がりたいと衝動が走る人もいる。職選びもまた同じである。
どんな乗り物があなた好みですか?
乗り物の好みは人さまざまだ。安定した運航で遠くまで連れていってくれる大型船がいいという人もいれば、目の前の岩山を、オフロードバイクでケガを承知で駆け上がりたいと衝動が走る人もいる。
また、乗り物など使わず自分の脚で山に登って、道端の草花に目をやり、景色のいい場所を適当に見つけて、手作り弁当を広げるほうがいいと思う人もいる。これらは志向性、価値観の差であって、どれが正解か不正解かという問題ではない。
職選びもこれに共通したところがある。大企業で海外を股に掛けるもよし、ベンチャー企業で一攫千金を狙うもよし、はたまた個人事業で趣味を仕事にするもよし。スピードの中で戦う仕事もよし、のんびりとした仕事もよし、人が寄り付かない仕事もよし。
要は、自分の内なる声に正直に従い、それにマッチした職やワークスタイルを選び、生計が立てられれば、それは「幸せのキャリア」である。経済的に「成功のキャリア」ではなく、自分の性分に合った乗りものを選ぶという「幸せのキャリア」という観点も長いキャリア人生においては大事である。
ちなみに、「成功のキャリア」にせよ「幸せのキャリア」にせよ、そこを狙い、維持していくためにはリスクを負って努力することが必要だ。そういうことがわずらわしいと思う人は、現状に不満がありつつも、内なる声に耳をふさぎ、現職でとりあえず安定的に雇用されるように我慢をするという「可もなく不可もなくキャリア」という道を選ぶこともできる(現実社会ではこれが多数派ではないか)。
……さて冒頭のSさん。彼は、結局、受け身で乗せられる「大型船」ではなく、ハイリスクであろうと自分でマシンを動かせる「オートバイ」が自分の働く性分に合っていたのだ。(村山昇)
関連記事
- 「キャリアはある意味、行き当たりばったりでいい」――キャリア教育を再考する
「キャリアデザイン」なる概念が矮小化する流れにあるように感じる。そこに「プロフェッショナルシップ」という新概念を持ち込んで、キャリア教育について少し考えてみたい。 - 震災直後は落ち込んだけど……お稽古・習い事市場は回復基調
矢野経済研究所の「お稽古・習い事市場に関する調査結果」によると、2011年度の市場規模は1兆6365億円であることが分かった。震災直後は厳しかったが、秋以降は回復基調になったという。 - 若手が選ぶ「20代で読んでおきたい本」、1位は『マネジメント』
若手ビジネスパーソンに「20代で読んでおきたい本」を聞くと、トップはピーター・F・ドラッカー著『マネジメント - 基本と原則』だった。インテリジェンス調べ。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.