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米大統領選でうごめくハリウッドセレブたち伊吹太歩の世界の歩き方(2/3 ページ)

支持政党を隠しもしないセレブたちが大統領選を縁の下で支える? 資金集めパーティでは億単位でカネを集めるし、ダーティハリーがオバマ大統領にエアインタビューだってする。

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クリント・イーストウッドの不思議なインタビュー

 米国では11月の大統領選に向けた戦いが本格化している。2大政党制の米国では、現職である民主党のバラク・オバマ大統領と、共和党のミット・ロムニー候補(参照記事)の戦いになる。大統領選の季節になると必ず話題になるのが、セレブたちの大統領選挙にまつわる動きや発言だ。

 8月末からフロリダで行われた共和党の党大会に、ベテラン俳優で映画監督でもあるクリント・イーストウッドが登場した。そして、誰も座っていない無人の椅子を自分がスピーチするポディアム(講演台)の隣に置き、あたかもそこに民主党のバラク・オバマ大統領が座っているかのように、一人芝居でオバマと「会話」をしてみせた。

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 要するに「エアインタビュー」だ。イーストウッドのステージは大きく取り上げられた。どんなことをイーストウッドは話したのか。スピーチの一部を紹介したい。

(無人の椅子に話しかける)

 大統領閣下、大統領候補だったときに約束したことはどうなりました? みんなに何て言うんだい? 君がちゃんと約束を果たしてないんじゃないかとみんな不思議に思っているでしょう? 民主党の人々ですら、君が(キューバの)グアンタナモ(収容所)を閉鎖しなかったことにかなり失望しているじゃないか。

 私が思うに……なんで閉鎖するかだって? そりゃ多くのカネがかかったからだ。ただ言い訳として……黙れとは何ごとだ?(会場は大爆笑)

(中略)

 でも私たちは(アフガニスタンで)戦争をして、それについて考えたほうがいい……確か君はみんな(米軍)を帰国させる撤退予定日を決めるとか何とか言っていた。撤退予定日を知らせたが、ロムニー氏は賢明な質問をしたね、「なぜ今予定日を公にしているのか……なぜ明日の朝に帰国させないのか」と。

 私は……ん? だから黙らないって、今は私が話す番だろ。……それについては話さないといけないな。それで、すべての約束はいったい……何? ロムニーに何を伝えろって? 彼にそんなことをしろとは言えない。ロムニーに、自分自身に対してそんなことをしろとは言えない。君はおかしいぞ。まともじゃない。バイデン(副大統領)と同じくらいダメになってるぞ。もちろん、バイデンが民主党の「知識人」だというのはみんな分かってるけどね。とりあえずは笑顔を振りまいてるけど。

 ただ問題は山積しているし、ロムニー氏とライアン氏(共和党副大統領候補)の2人なら進められる。やっぱり、弁護士を大統領に選んだほうがいいなんて思ったことは一切ない。


 映像を見るとさすが雰囲気のあるスピーチで、もしかしたらビジネスマンも参考にできるような優れたスピーチだったのかもしれない。だが米メディアを見る限り、批判的な意見が多いようだ。5人の女性との間に7人の子供をもうけ、その中には32年間ものあいだ自分が父親だと認知していない子供もいるイーストウッドが保守的な共和党集会にフィットしないとの指摘もあった。

 さらに最近米国で頻発している銃乱射事件によって銃規制の議論がされる中、スピーチの最後を、自らの代表作『ダーティハリー』の台詞で、銃を構えながら発言する「Go Ahead, Make My Day(やれるものなら、やってみろ)」で締めくくるとはいかがなものかとの批判も出ていた。

 ただそれよりも興味深いのは、俳優などのセレブが政治などに絡んで話題になること。日本では、例えば菅原文太のような俳優が「私は民主党に投票した」と表明することはほぼない。

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