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出版物の3冊に1冊を占めるけど……危機を迎える日本のマンガ(前編):アニメビジネスの今(3/4 ページ)
日本ではコミック誌とコミックスを合わせた年間販売数は10億冊弱で、出版物全体の36%を占めている。しかし今、コミック誌の売り上げ減少で、日本のマンガ業界を支えてきたシステムが崩れようとしている。
マンガ大国の危機
世界一のマンガ大国日本。しかし今、危機が訪れている。次図はマンガ売上の統計が出始めた1978年からのコミックス(マンガ単行本)やコミック誌(マンガ雑誌)の売り上げ推移だ。
コミックスとコミック誌を合わせた全体売上を見ると、1978年に1841億円という売上統計が出て以来、順調に成長を重ね、10年後の1987年には2倍の3781億円、1992年には3倍の5392億円、最盛期の1995年には5864億円まで売り上げを伸ばした。しかし、その後は減少トレンドに転じ、2011年には3903億円と1980年代後半のレベルにまで戻したというのが現状である。背景としては、少子化や娯楽の多様化などが挙げられるだろう。
売上減少については、次図のようにコミックス、コミック誌それぞれの売り上げを分けて見ると分かりやすい。
1978年にコミックスの3倍の売り上げがあったコミック誌が1996年を境に衰勢となり、2005年にはついにコミックスの売り上げを下回っている。一方、コミックスは2005年にピークとなり、その後はわずかに数字を減らしつつも横ばい傾向にある。つまり、1995年以降日本のマンガの売り上げが減少した要因はコミック誌の落ち込みによるものなのだが、この事実はマンガ大国において重要な意味を持っている。
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