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編集者が認めれば「良い仕事」……といった時代は終わり?佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(6)(2/3 ページ)

ライターが書いた文章は、プロの編集者が認めなければ世に出すことは難しかった。しかしネット環境が整った今、こうした関係にも変化の兆しがうかがえる。

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松井博氏

佐々木:人と人がつながることによって、そこからビジネスになることは、楽といえば楽ですよね。搾取されている感じもありませんので。

 しかし今は過渡期なので、直接つながることをマネタイズするスキームが、きちんと整備されていません。

松井:まだまだ試行錯誤ですよね。

佐々木:いろいろな人がいろいろなやり方を試しているので、空白になっている部分がたくさんあります。なので中堅ミュージシャンの中に廃業する人が出てきたりしています。

 私のように本を書いたりしているジャーナリストも同じなんですよ。これまで雑誌で記事を書くことでメシを食えた人たちが、いまはそれだけでは難しくなっている。なぜならその背景にはメルマガを書いてそれで儲けたりしているので、いわゆる混乱が起きている。

 これまではプロの編集者が間に入っていて、その編集者に認めてもらうことがジャーナリストの仕事だった。一般の人にはなかなかウケないかもしれないけど、編集者が認めれば「良い仕事」といった感じで。逆に言えば、一般ウケしない良い仕事がビジネスにならなくなったんですよ。

松井:なるほど。

佐々木:しかし一般ウケを狙いすぎて、衆愚的な方向に走ってしまう人がかなり出てきました。これはこれで問題なんですよね。

松井:タイトルであおるケースが増えてきました。

佐々木:ページビューが多いほうがいいとか、広告効果が高いほうがいいとかね。その部分に引きずられてしまうと、そっちの方向に行ってしまう。だから読者とつながるといっても、良い読者とつながることが大事ですよね。そういうビジネスモデルを作らなければと思っているのですが、まだまだ試行錯誤の段階です。

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