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年利300〜1000%でもお金を借りる――そんな時代もあった「弱者」はなぜ救われないのか(3)(2/3 ページ)

江戸時代にはさまざまな金貸しの実態があった。両替商、質屋、素金、日銭貸、烏金などどれも金貸し業であり、両替商は年利2割、質屋は年利48%といわれている。また年利300〜1000%という高金利にもかかわらず、当時の人はお金を借りていたという。

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経済に不可欠なノンバンクの存在

 やがて、日本でも世界でも預金を集めるバンクが出現し、バンクとノンバンク、それぞれ役割の異なる両者が相互補完するようになった。バンクは預金者保護などの公共性が求められることから当局の監督を受け、自己資本比率規制などのルールが課せられる一方、もともと庶民の細かな資金ニーズやリスクの高い融資に応える体制にはない。このあたりにノンバンクとの守備範囲の相違がある。

 例えば、通常「100あれば成功するのは1つか2つ」と言われているベンチャー企業には、投資ファンドやノンバンクから資金を調達しているところも相当数ある。これは、100打数1安打の成功率に対して、年利3、4%では誰もとても金は貸せないからだ。特に預金者を守らなければならない銀行は、たとえ利子を上げたとしても、貸し倒れリスクの高い先に資金を出すことはできないのである。そこで、高い利子で高いリスクを取って貸し出すノンバンクというものが求められ、育ってきたのだ。そしてまさしく、ノンバンクのマネーを得た中小、零細企業から100打数1安打の割合でホームランのような大ヒット商品が生まれ、日本の技術、商品の品質を高めてきたという、見過ごしてはならない側面がある。

 また、銀行は同じく預金者を守らなければならないことから、担保をとって事業者に融資することはできるが、事業者の急な資金繰りのニーズに対し、リスクを取って無担保で融資することはなかなかできない。消費者に対しても、住宅ローンや学資ローンなどは別として、小口で手間隙がかかり、かつリスクの高い貸し付けを無担保・無保証でわざわざ貸すこともない。しかしながら、経済、社会には必ずそうしたバンクでは対応できない資金ニーズが存在する。バンクがあろうとなかろうと、日本の経済・社会全体にとってノンバンクは不可欠な存在なのだ。

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