連載
年利300〜1000%でもお金を借りる――そんな時代もあった:「弱者」はなぜ救われないのか(3)(3/3 ページ)
江戸時代にはさまざまな金貸しの実態があった。両替商、質屋、素金、日銭貸、烏金などどれも金貸し業であり、両替商は年利2割、質屋は年利48%といわれている。また年利300〜1000%という高金利にもかかわらず、当時の人はお金を借りていたという。
現在の消費者金融の多くは1960年台、東京オリンピック前後の高度成長時代とともに出現したといわれる。通称「団地金融」ともいわれた無担保、無保証で借りることのできる小口の貸金業が、後に「サラリーマン金融」、いわゆる「サラ金」と呼ばれるものに発展していった。オイルショックの影響による経済低迷もあって、多くの借り手が生み出され、それにともなって問題のある貸し借りや、高金利で貸す業者の出現など、「サラ金地獄」という言葉も生まれるような状況になった。
このため、業界はイメージを一新すべく名称を「消費者金融」と改めるとともに、100%を超えていた金利を何度かの改正で50%近くまで下げた。その後、犬や女性ダンサーなどを駆使したテレビCMに代表されるソフト戦略と簡便な利用を促進するATM戦略を打ち出し、再び貸し出しが大きく伸びることになった。
ところが、こうした戦略によって再び利用者が急増した2000年に入ると、不況などの影響もあって派遣やフリーターが増加し、返済能力を超える借り入れをしてしまう多重債務者や自己破産者が増加、その一方で長者番付にオーナーが名を連ねる消費者金融業界に対して再度社会の厳しい視線が集中し、前述した改正貸金業法の議論につながっていった。
(つづく)
関連記事
- ヤミ金被害は、本当に減っているのか?
年収の3分の1以上の借り入れを制限する「総量規制」が、2010年6月に完全施行された。その結果、消費者金融などからお金を借りていた人たちはどのような立場に追い込まれたのか。 - 借金大国日本で“踏み倒す人”が急増している理由
国民年金、給食費、授業料、治療費……今、公的な支払いを踏み倒す人が増えている。この背景には、いったいどんな「裏」があるのだろうか? - 『闇金ウシジマくん』の関係者が語る、“優しい闇金”の真相(前編)
“優しい闇金融”と呼ばれる違法ビジネスを営む輩が、水面下でうごめいているのをご存じだろうか。その実態はベールに包まれていたが、ノンフィクションライターの窪田順生氏が彼らの実態を明らかにした。 - あなたのそばにいる“優しいヤミ金融”……その実態は?
かつて高金利で厳しい取り立てを行い、社会問題にもなったヤミ金融。しかし今では、“優しいヤミ金融”と呼ばれる非合法な業者がはびこっているというが、その実態は不透明だ。そこで貸金業に詳しい、東京情報大学の堂下浩准教授に話を聞いた。 - 改正貸金業法から考える、日本人とお金の関係
2年前に完全施行された改正貸金業法によって、貸し出しの上限金利は20%となり、個人は年収の3分の1までしか借りられなくなった。ある意味おせっかいとも言える規制ができた背景には、日本人のお金に対する考え方があるからかもしれない。 - あなたもお金が借りられなくなる? 法律が招いた“優しいヤミ金”
あなたは「優しいヤミ金融」という言葉をご存じだろうか? かつてのヤミ金といえば「取り立てが厳しい」「金利が高い」といったイメージがあるが、この優しいヤミ金とは「取り立ては厳しくない」「金利は高くないが、違法」といった手口だという。 - 消費者金融を襲う3つの難題
消費者金融が試練に立たされている。返還請求で巨額の赤字を計上、新貸金業法で事業の縮小が予想される。淘汰か、再編か、業界の悩みが続く。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.