自分の意思で人生を決めている?――65歳定年時代に大切なこと(2/2 ページ)
自分の人生を自分で決めるという経験をしなくて済むような仕組みや雰囲気がある日本。65歳定年時代を迎えようとする今、自分の意思を持ち、それを分かりやすく周囲に表明し、意思のある行動ができるようになってもらうことが大事だと筆者は主張します。
自分の人生を自分で決めなくて済む日本
考えてみれば、この国には自分の人生を自分で決めるという経験をしなくて済むような仕組みや雰囲気があります。進学では、偏差値ランキングや模擬試験での合格可能性を参考に、親や先生に相談すれば自動的に受験先が決まり、その先のキャリアを自分の頭で考えることはありません。
就職も似たようなものです。会社に入っても、意思表明や決断をすることなく、会社の方針や指示・ルールに従って軋轢(あつれき)を避けながら働き続けるだけで、キャリアも会社任せ。幹部や管理職になっても、そのようなスタンスを変えられない人は非常にたくさんいます。女性は、結婚・出産や、その後の仕事と家庭の両立などで決断に迫られることが、男より多いように思いますが。
農業や漁業、町工場や個人商店などを仕事としていた人が大勢いた時代は、自分の意思で決めて行動するのが当然であった(そうせざるを得なかった)のが、企業組織に多くの人が吸収されるようになり、経済効率は上がったものの、意思の表明や決定というものからどんどん遠ざかっていって(意思決定をしなくてもよくなり)、自分で決めるという姿勢のない人が増えているようにみえます。余生の過ごし方や人生の最期について、本人の意思が反映されない現在の状況には、このような背景もあるのでしょう。
もちろん、企業経営にとっても、高度成長期の単品大量生産時代ならまだしも、現在のような変化やイノベーションが求められる時代には、意思のない、決定のできない中高年の存在は、弱みにしかなりません。
65歳定年時代を迎えようとする今、中高年社員を改めて強化する必要は多くの会社が感じているようですが、そのポイントは自分の意思を持ち、それを分かりやすく周囲に表明し、意思のある行動ができるようになってもらうことではないかと思います。ひいては、それが各々の充実した老後や、その人らしい立派な最期を迎えてもらうことにつながるはずです。(川口雅裕)
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