東日本大震災関連の倒産が1000件に、最も多い業種は「旅館・ホテル」
帝国データバンクは東日本大震災関連の倒産が、発生595日目の10月26日に1000件に達したと発表。阪神大震災の同時期の約3.4倍となっている。
帝国データバンクは10月29日、東日本大震災関連の倒産が発生595日目の10月26日に1000件に達したと発表した。倒産企業の負債総額は1兆2295億7800万円。
月別の推移を見ると、震災発生月の2011年3月は14件にとどまったが、4月は57件と急増し、5月には現在までのピークとなる80件を記録、その後は増減を繰り返しながらも緩やかに減少している。阪神大震災時と似たような推移をたどっているが、その規模は異なっており、震災発生から20カ月目までで比較すると、「阪神大震災関連倒産」291件に対し、「東日本大震災関連倒産」1000件と、約3.4倍になっている。
都道府県別に見ると、東京都が252件(構成比25.2%)で最も多く、北海道が64件(同6.4%)、宮城県が60件(同6.0%)、神奈川県が58件(同5.8%)で続いた。東日本の企業が中心だが、九州でも69件が倒産していた。
最も倒産件数が多かったのは「旅館・ホテル」
業種を詳しく見ると、最も多かったのは「旅館・ホテル」の61件。帝国データバンクでは「2011年3〜8月の訪日外客数が前年比マイナス30%以上となる(日本政府観光局調べ)など、震災を引き金として全国的に外国人観光客が減少した影響」と分析している。
以下、「内装工事」が27件、「土木工事」が24件、「貨物自動車運送」が22件、「木造建築工事」が21件で続いた。
放射能汚染の風評被害による販売不振など、福島第一原子力発電所事故の影響を受けた倒産は90件(構成比9.0%)。千葉県の吉中商事は、野積みしていた商材(非鉄スクラップ)が放射能の影響を受けたとして中国向けの輸出が鈍化、2012年9月に民事再生法適用を申請した。
原発関連倒産のうち、東京電力が実施した計画停電による影響を受けたものは18件。群馬県の井上食菌センターは、計画停電時に温度管理が行き届かず、培養していたキノコの品質が悪化したことなどから業績が悪化、2012年4月に破産手続き開始決定を受けた。
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