誠 ビジネスショートショート大賞、応募129作品の頂点はこう決まった:激論・最終審査会(6/6 ページ)
「ビジネスがテーマの短編小説を募集します!」。そんな誠 ビジネスショートショート大賞の呼びかけに応じて、129もの作品をご応募いただきました。この記事では応募作品の頂点を決めた審査会の模様を詳しくお伝えします。
第2回も!?
――最後に今回、ビジネスショートショートを対象とした珍しいコンテストを開催したわけですが、審査を終えての感想をいただけますか。
渡辺 ショートショートという名前に引きずられて、ワンアイデアのSF小説を書いてしまった人が多かったですね。改めて、星新一は偉いなあと思いました。
また、小説ということで情緒を書くことに逃げてしまって、雰囲気を伝えるだけで焦点がよく分からない作品がたくさんありました。ビジネスを伝えるために、筋立ての理由や意味を考えるハードルがあったんだろうと思います。
あと良い悪いではなく、もっとライトノベルのような作品が来るかと思っていたら、文学っぽく書いてきた作品が多かった印象がありました。
山田 僕が10年前に『女子大生会計士の事件簿』を書いた時より、みなさんの方がうまかったです。思ったよりクオリティが高くてビックリしました。あえて苦言を言うならば、オチで空を見上げるのはやめてほしい(笑)。ワンアイデアできれいに落とすというのはショートショートのベーシックな面白さなので、そこをもっと考えたらもっともっと良い作品が生まれると思います。
清田 どれも上手だったと思います。文章を構成して書く能力が日本人全体として底上げされているのかとすら思いました。ただ、すごく上手な一方、小さくまとまっている話が多かったとも思います。もっと自由な発想で、粗削りでもいいから書いてみてもいいかなと。そういう無茶苦茶さみたいなものがあると、もっとバリエーションが出た気がします。でも、どれも面白くて読みごたえのある作品ばかりで、非常にビックリしました。これだけの量とこれだけの質の作品が集まるとは全然思っていませんでした。
加藤 ビジネスショートショートということで、ビジネスのお役立ち情報を盛り込まないといけなくて、しかも短いというのは結構大変だと思うのですが、すごくうまく書いていらっしゃる方がいっぱいいてすごいなと思いました。
こういう時、技術とアイデアと勢いという3つがうまく統合されていると、良い作品になると思うのですが、大賞の「営業刑事は眠らない」はそのバランスが一番良かったと思います。
ほかの作品もそれぞれに良いところがあったり悪いところがあったりしたのですが、みなさんもっと書いていただけるともっとすごい作品が生まれるような気がしました。先ほど清田さんがおっしゃっていたように、明るくて爆発力のある、そして先ほど言った3つが統合された作品が読みたいですね。今後も続けるんですか?
吉岡 予算があれば(笑)。
私の方からは、まず129作品と予想以上に集まって、本当にみなさんありがとうございましたというのが一番の感想です。全体としては暗い作品が多かったのが気になったのと、自分の話を書いてしまった結果、ノベルではなく、エッセイになってしまっている作品が多かったのが気になりました。私としてはビジネスとノベルをポイントにして選んだつもりなので、ビジネスノベル連載も今からでも読んでいただけるとありがたいです。
大賞はアプリ化もしています
2時間にも及ぶ激論の末に決まった誠 ビジネスショートショート大賞受賞作。改めて、こちらでご紹介します。受賞者のみなさま、おめでとうございます! また、ご応募いただいたみなさまも、本当にありがとうございました。
大賞:「営業刑事(デカ)は眠らない」(吉家孝太郎さん)
加藤貞顕賞:「ターゲット」(川乃もりやさん)
山田真哉賞:「悲しい地歴」(不動岳さん)
清田いちる&渡辺聡賞:「不完全エスパー -積極的傾聴と文化祭-」(鈴木ユキトさん)
吉岡編集長賞:「なんて素敵にフェイスブック」(修治さん)
大賞は賞品としてイラストを入れてアプリ化していますので、よろしければダウンロードいただければと思います。それでは、第2回(?)でまたお会いしましょう!
関連記事
- 著作権法改正、何をすると違法ダウンロードで刑事罰?――ビジネステレビ誠アーカイブ
毎月1回のネット生放送「ビジネステレビ誠」。10月は「著作権法改正、何をすると違法ダウンロードで刑事罰?」「今夜発表! 誠 ビジネスショートショート大賞」「誠トレンド格付2012 みんなでノミネートを考えよう」をお届けしました。 - 誠 ビジネスショートショート大賞サンプル作品:「消費税は、アタシたちアイドルが支配します」
急きょ“消費税アイドル”としてユニットデビューが決まった3人のアイドル。そもそも消費税のことも知らないし、キャッチコピーすら決まらない。ライブ本番まであと5分。果たして、間に合うのか? - もしドラだけじゃない! “ビジネスノベル”が増えているわけ
最近、書店のビジネス書コーナーでは、若い女の子が表紙になった物語形式の本が増えています。その背景には、ビジネス書側、小説側、それぞれの事情が関係しているようです。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.