その「痛み」どうしていますか? “我慢は美徳”という日本人(5/5 ページ)
「痛みがあっても我慢すべき」という人は74.3%、「『痛い』と他人に言うべきではない」は55.7%――。“我慢は美徳”と考える人が多いようだが、痛みを我慢すれば生活に支障が出るかもしれない。そこで痛みの種類や治療法などを紹介しよう。
長く続く痛いところがある人は要注意
痛みの難しさは、必ずしも「この痛みは侵害受容性疼痛」と言い切れるわけではないところにある。侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の要素をあわせ持った「混合性疼痛」という病態もある。特に慢性的な痛みの場合、混合性疼痛のケースが多い。そのため長く不快感が続き、仕事や余暇の楽しみにも影響する慢性的な痛みの治療は、なかなか「スキッと完了!」というわけにはいかない。
実際、神経障害性疼痛に悩む人は、医療機関に相談する割合は高いものの、治療をあきらめてしまう割合も、神経障害性疼痛以外の患者と比較して高い。治療を中止する理由は、「症状が思うように改善しなかったから」が57.9%とダントツのトップ。治療中止はイコール「痛みを我慢して生活する」ということであり、QOLの低下につながる。そんなことは重々承知しながらも、痛みの治療をあきらめてしまう現実があるのは辛いことだ。
「何となく痛い」「痛みを感じるような気がする」「ずっと違和感がある」といった症状があったり、一般のクリニックに相談しても「特に問題ありませんね」と言われた場合、私たちはどのように対応すればいいのだろうか。日本大学医学部の小川教授に話を聞いたところ「検査をして異常がなければ、かまってくれないケースが多い。そうした場合、痛みを専門にするペインクリニックに相談してみてはどうだろうか。痛みは我慢してはいけない。『心配だな』と感じれば、遠慮なく医師に相談したほうがいい」とコメントした。
痛みを感じたら「気のせいかな」と疑わず、「この程度」と我慢せず、できるだけ早く医師に相談したい。悪化させてから病院に行くよりも、治療が容易に済み、辛さを抱える期間が短くて済む。万が一、医師に「特に問題ありません」と言われても、自分自身が違和感を感じているのなら、痛みの専門医に相談することだ。たとえ現在は病名がない痛みでも、「今ある痛み」に対する、現状で最良の対処法に出会えるだろう。
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