帝国ホテルに学ぶ「2杯目のグラスを置く場所」:クイズ王のすごい考え方(2/2 ページ)
帝国ホテルのおもてなしの姿勢は群を抜いています。あるドアマンは常連客約1000人の顔と名前、乗っている車の車種や運転手までも覚えているそうです。そんな究極のサービスを提供する帝国ホテルの、なぜか相手の心をわしづかみにする人の習慣をご紹介しましょう。
答え:
お客様が自分で移動した、1杯目のグラスの位置
誰でもそうですがバーやカフェで飲み物を置く場合、自分がもっとも飲みやすい場所、あるいはグラスを置いておきたい場所にグラスを置きます。神経質な人は、それこそミリ単位でグラスの位置を調整したりするものです。
バーテンダーは、お客様が1杯目のグラスをどこに置いていたかをさりげなく観察しておいて、2杯目のグラスは「当たり前のように」その位置に置くのです。それがあまりにも自然に行われているので、多くのお客はそんな配慮に気づかないのです。だから「あのバーは(なぜか)居心地がいい」ということになるというわけです。
帝国ホテルでは、ルームサービスの目玉焼ひとつをとっても、お客様(もちろん常連客ですが)の好みに合わせて焼きます。焼き時間を、秒単位で指定してくる常連客もいるそうです。
また、帝国ホテルのベッドメイキングにいたっては、連泊のお客様のベッドを整えるときは、そのお客様の寝ぞうに合わせて行います。
これは、ある本に出てきた老舗旅館の話です。
そこの女将さんは、お客様と接するとき、いつも元気に挨拶をしていました。でもある時、1人のお客様から「そんなに明るい声で笑いかけられても悲しくなる。今、とても気持ちが沈んでいるからね」と言われて、はっとします。それ以来「お客様が今、どういう気持ちでいらっしゃるのか」を推し測って、挨拶のトーンを変えるようにしているのだそうです。
マニュアル化は決して悪いことではありません。万人に向けたサービスを向上する上では有効に機能します。でも、誰に対してもまったく同じサービスというのは、少し味気なさを感じさせます。飲食のチェーン店が味付けや清掃についてマニュアルを完備する気持ちもわかりますが、カスタマイズされたサービスにお客はより心を惹かれます。
サービスに関する本によく出てくる「サービスの基本」は「観察力」です。同じ人でも時と場合によって従業員に求めるものが変わってくるのですから、お客様の今の状況を察する力がモノを言ってくるのです。
そして、1人ひとりの好みを覚える記憶力。このへんはこまめに情報を記録することでカバーできます。以前に1度利用しただけのレストランが、自分の好みの味を覚えていてくれたら感動モノですよね。
帝国ホテルのような一流のサービスは、一朝一夕にできるものではありません。しかし、バーテンダーのグラスの置き場所のように、ちょっとしたワザを取り入れることで人の心をとらえていくことはできるはずです。
本日の一言:「その人オンリー」のサービスが究極のもてなし。
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