調査リポート
酒類市場の縮小止まらず、低アルコール飲料が今後のカギに?
矢野経済研究所の「酒類市場に関する調査結果」によると、2011年度の国内酒類市場はメーカー出荷金額ベースで前年度比1.9%減の3兆6300億円となったことが分かった。市場全体は縮小しているが、低アルコール飲料市場は好調なようだ。
矢野経済研究所は1月11日、「酒類市場※に関する調査結果」を発表。それによると、2011年度の国内酒類市場はメーカー出荷金額ベースで前年度比1.9%減の3兆6300億円となったことが分かった。
※ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)、清酒、焼酎甲類、焼酎乙類、ウイスキー、ワイン、低アルコール飲料、その他の10市場を合算。
ここ数年、市場の縮小傾向は継続しており、同研究所ではその理由として「若年層のアルコール離れや不景気による飲食機会の減少による業務用市場の不振。それらの影響によって、酒類メーカー各社間の競争が激化し、販売単価が下落している」とコメント。2012年度も前年度比2.2%減の3兆5500億円と予測している。
一方、2011年度の低アルコール飲料※市場は、メーカー出荷金額ベースで前年度比4.3%増の2175億円と好調。酒類市場全体とは対照的に、市場は拡大している。
※醸造酒や蒸留酒、リキュールを果汁、茶、水、炭酸水などで割り、アルコール度数10%未満にした商品で、チューハイ、サワー、カクテルなどのアルコール飲料。
低アルコール飲料は近年、需要の拡大とともに、アルコール度数を8〜9%程度に高めたストロング系商品やアルコール度数を3%以下に抑えたライト系商品、マイルドな味わいやドライ(辛口)な味わいの商品、糖類・糖質などの成分を減らした機能性商品など多様化してきている。
「ソフトな飲み口で拡大してきた低アルコール飲料だが、家飲みや若年層のながら飲み(ゲームや携帯電話などをしながらの飲用)、女性の一人飲み需要など新規飲用をうながす多様な商品開発で市場拡大を続けている」(矢野経済研究所)
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