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インタビュー

1億2000万人の目を救う? まだ誰もつくっていない新薬の話を聞いてきた仕事をしたら“新薬”ができそうだ(前編)(5/6 ページ)

眼科医として一流の腕を持ちながら、米国で製薬ベンチャーを立ち上げた男がいる。現在、まだ誰もつくり出せていない治療薬を開発中だが、新薬はどのようにしてできるのか。アキュセラ社の創業者・窪田良さんに話を聞いた。

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窪田:いえ、ゼロからですね。例えば問題が起きるまで5年かかったとすると、5年間の作業をもう一度繰り返さなければいけません。

土肥:カギ穴のデザインをちょこちょこっと変えてもダメなのでしょうか?

窪田:ダメですね。ちょっと変えてしまうと、安全性などいろいろなものが崩れてしまうかもしれません。なのでゼロから再出発しなければいけないんですよ。

 飛行機でもタイヤが弱いからといってタイヤを大きくしてしまうと、タイヤを支えている金属を太くしなければいけない。そうすると重さのバランスが崩れてしまうので、エンジンを大きくしなければいけない。エンジンを大きくしてしまうと、今度は羽を大きくしなければいけない。

 飛行機の設計と同じように、新薬の開発も化合物のデザインをちょっと変えると、すべてを見直さなければいけません。ちょっといじるだけで人間の身体にどのような影響を与えるのかは全く分からないので、すべての試験をイチからやり直すしかないんですね。

土肥:なるほど。ところで化合物のデザインというのは、努力で見つけられるのでしょうか? それとも運が必要なのでしょうか?

窪田:努力と運だけでは足りません。才能も必要になってきます。例えば、美術館には素敵な絵画がたくさんありますよね。そうした絵画を仕上げるには才能が必要なように、新薬を開発するのにも才能が必要です。頭の中で「こういう絵を描きたい」と思っていても、実際には描けない人っていますよね。それと同じように、頭の中で「こういう化合物ができるかもしれない」と考えても、それを具現化できない人がいます。

土肥:記者で例えると「これはいい企画だ」と思っても、いざ記事にしてみると「なんかイマイチ……」というパターンかも(苦笑)。


新薬を開発するには、カギ穴にぴったりの化合物をつくらなければいけない(写真と本文は関係ありません)

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