1億2000万人の目を救う? まだ誰もつくっていない新薬の話を聞いてきた:仕事をしたら“新薬”ができそうだ(前編)(6/6 ページ)
眼科医として一流の腕を持ちながら、米国で製薬ベンチャーを立ち上げた男がいる。現在、まだ誰もつくり出せていない治療薬を開発中だが、新薬はどのようにしてできるのか。アキュセラ社の創業者・窪田良さんに話を聞いた。
いろんな能力が必要
窪田:カギ穴にぴったりはまる化合物をつくる作業は、料理をつくることと似ているかもしれません。例えばカレーをつくるとき、にんじん、たまねぎ、じゃがいも、肉、ルーなどを入れますよね。同じ素材をつかっていても、おいしいカレーをつくる人とそうでない人がいます。同じように化合物をつくるのも上手な人がいるんですよ。
ただ思い通りにならなかったとき、なぜうまくいかなかったのか、考えなければいけません。そして、何万通りもある作業の中から“選ぶこと”をしなければいけない。カギ穴にぴったりはまる化合物をつくるのに、1万個目でできるのか、最初の1個目でできるのか。もちろん時間のことを考えると、最初の1個目でできるほうがいいので、新薬を開発するにはインスピレーションが大切になってきます。
土肥:話を聞いているだけで、自分には無理……と思いました(汗)。
窪田:ちょっとでも気を緩めていると、最後のステップで間違ったために、すべてが無駄になることもあります。そう考えると、いろんな能力が必要になってきますね。
土肥:窪田さんは新薬の研究にも携われて、今は会社の経営者。ちょっと完璧すぎるじゃないですかー(笑)。経営者としての弱点はないのですか? 例えば、創業したものの、決算書は読めなかったとか。
窪田:実は……読めなかったんですよ(苦笑)。
土肥:えっ、本当ですか!? (「やっぱり神様は人間にすべての能力を与えていない」といったことを考えながら)決算書を読めなかったら、いろいろ苦労されたのではないでしょうか? 次に創業当時の話などを聞かせていただけますか?
窪田:はい。
(つづく)
関連記事
- なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - なぜ内定をもらえない学生が出てくるのか――彼らの行動を分析した
学生の就活が本格化しているが、内定をもらえる人ともらえない人でどのような違いがあるのか。これまでよく分からなかったことが、ビッグデータで明らかになってきたという。就活生の行動を分析している、リクルートキャリアの担当者に話を聞いた。 - ミドリムシが世界を救う? そんな時代がやって来るかもしれない
「ミドリムシ」と聞いて、どんなことを想像するだろうか。「青虫」「ミトコンドリア」などを思い浮かべる人も多いのでは。ミドリムシを増やして、地球そして人類を救おうとしている会社がある。その名は「ユーグレナ」。社長の出雲充氏に話を聞いた。 - なぜ“普通のオトコ”は、なかなか見つからないのか?
「彼女がほしいのに、なかなかできない」と悩んでいる男性も少なくないはず。会社の女性には声をかけにくいし、飲み会に参加してもなかなか結果がでない。そうした悩みに対し、恋愛マーケティングの専門家に話を聞いた。全3回でお送りする。 - なぜ恋人ができないのか? 若者の間で広がる面倒な関係
若者の間で「彼女ができない」人が急増している。昔に比べ、「異性の人と話すのは苦手」といった人は減ってきているように思うが、なぜ恋人ができないのか。その原因について、若者事情に詳しい博報堂の原田曜平氏に聞いた。 - 仕事をしたら○○が見えてきた・バックナンバー:
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.