コンビニ本部が契約解除をおこなう時:とあるコンビニオーナーの経営談議(2/3 ページ)
とあるコンビニにすごい張り紙がしてあると聞いた。コンビニ本部と加盟店側でトラブルになり、商品の供給、および店舗システムの使用が止められたのだという。今回は、コンビニの本部側からによる契約解除について考えてみる。
送金をしないのは、すでに“自転車操業”となっているから
売り上げ送金をしない経営者の多くは、ロイヤリティが払いたくないとかではない。単に、日々の生活に窮した人たちがほとんどである。
まず、1日の売り上げを送金せずに借金の返済に回す。1、2日くらいなら、送金のタイムラグでごまかせる場合が多い。しかし、多くの場合は1日や2日で終わらない。なんせその時点で、経営者の家計は自転車操業となっているからだ。クレジットカードの返済をクレジットカードで支払っているようなもので、いずれ破たんすることは目に見えている。
そこで、本部の対応として通常の解約を求める。1、2日の売り上げであれば、残商品を売ったお金で回収が可能だからだ。筆者も本部社員の時代に、数店の経験があるが、解約が決定した段階で日々の精算業務をやらされたものだ。なんせ放っておいたら売り上げが送金されないのだから。
ただし、この時点では商品の供給が止まったりはしない。あくまでも通常の閉店といったところだろう。
ところが、コチラのチェックをかいくぐる強者もいる。金融機関の長期休暇を狙って売り上げを持って行ってしまう場合がある。例えば、ゴールデンウィークや年末年始などがそうだ。今はもうないが、高速道路のプリペイドカードを大量に仕入れて、それを換金することで金に変える者もいた。その場合は、定期的に行われる商品棚卸の結果が出るまで判明しないことが多い。筆者の経験では、換金性の高い商品で1度に900万円の負債が発生したこともあった。
このように、早急に経営者と店舗を切り離したい場合は緊急閉店もあるが、それはまれな事例だ。
筆者は未送金店舗をいくつか担当したことがあるが、突然の契約解除をおこなった経験はない。先輩から聞いた話によると、経営者が借金をした相手が店の商品を持っていく可能性が出てきた時に、緊急で閉店をして商品確保した事例があるという。店舗の商品を直営店舗で販売してお金に替えるためだ。
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