聞き返し方ひとつで英会話はこんなに楽になる:ビジネス英語の歩き方(1/3 ページ)
「Pardon?」――相手が英語で何と言ったのか分からないときに使うフレーズだが、繰り返してもらっても分からないということは少なくない。それは、聞き返し方が悪いから……かも。
「ビジネス英語の歩き方」とは?
英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。
英会話で、何といっても困るのは、相手の言っていることが分からないことです。道を聞かれたとき、どうしてもドギマギしてしまうのが日本人。会議などでも「みんながしゃべっていることが、いまひとつはっきり分からない。自分が何か言わなくてはいけなくなったらどうしよう」。
日本人なら「そうだよなあ」とうなずくのでは? 問題はこの先にあります。ひとつは、理由のいかんを問わず、相手の言うことがはっきり理解できないときに、どう対処するか。もうひとつは、なぜ日本人はこういうプレッシャーを感じてしまうのか。
筆者自身、米国で合計12年間生活し、「相手が言っていることが分からない」場面に数えきれないくらい遭遇しました。そして「聞き返しても、やっぱり分からない」という絶望的な状況も経験しました。そのなかで学んだことの中から、強調しておきたいポイントを紹介しましょう。
分からないものは、聞き返したって分からない?
中学校の英語の授業でも、英会話教室でも、だいたい5つの「聞き返し方」を教えてくれます。いずれも「すみません、もう一度お願いします」という意味のオーソドックスな表現です。
- Sorry?
- I am sorry?
- Excuse me.
- Pardon?
- Pardon me?
もう少し丁寧に聞き返すなら、
- Sorry, could you say that again?(すみません、もう一度言っていただけますか?)
という表現を教えてくれる先生もいるかもしれません。もちろん、これも丁寧な言い方として、いつでも使えます。
しかし、本当に問題なのは、相手がもう一度言った内容が、それでもまだ分からない場合。つまり、2回聞いてもやっぱりよく分からないということは、けして少なくない。なぜ、このようなケースが多いのか。それは、相手に同じことを言わせるように聞き返しているからです。
まず、「Excuse me?」などの典型的な聞き返し方は、相手が言ったことがよく聞き取れなかったので、「いま言った(同じ)ことを、すみませんがもう一度お願いします」という意味だということ。従って、相手はほぼ例外なく、初めに言ったことを繰り返します。
従って、「やっぱりよく分からん」となったときに、さらに「Excuse me.」とか「Sorry?」と繰り返すわけにはいきません。聞いても構わないのですが、普通はそうしません。それは相手に失礼だという意識が強くなるのと、相手に「この人は、ちょっと理解力が足りないのではないか」「ちょっとIQが低いのではないか?」と思われかねないと本能的に思ってしまうからです。
学校でも英会話教室でも絶対に教えてくれないテクニックですが、実は大切なのは「どういう表現で相手が言いたいことを聞き出すか?」という工夫なのです。
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