仮設商店街に寄って、東北にお金を落とそう:相場英雄の時事日想(2/3 ページ)
「GWの予定がまだ決まっていない。どこかに行きたいなあ」という人もいるだろう。そんな人に、オススメしたい。東日本大震災で甚大な被害を受けた東北沿岸に足を運んでみるのはどうだろう?
東北沿岸には規模の大きさこそ違うが、石巻のような港町が無数にあり、地元食堂や鮮魚店、あるいは魚介類を加工した製品を扱う商店がたくさん存在する。
先の震災によって廃業したところもあるが、港町の仮設店舗を利用し、復活を遂げた店が多数ある。
例えば、石巻、南三陸、気仙沼、大船渡、釜石など先の震災で傷ついた町のあとに「復興」「商店街」などのキーワードを加えてインターネットで検索すると、たちどころに各地の仮設商店街の案内がヒットする。
何度も触れてきたが、現地を訪れ、食堂でメシを食べ、帰り際に地元名産の土産物を買うだけでも確実な支援となるのだ。
観光客が訪れることで現地にお金が落ち、これが漁師や商店主、ひいては彼らの家族の収入につながる。
内陸の主要ターミナルからの交通機関がかなり回復したので、仙台や盛岡など大きな都市を拠点にすれば、片道数時間で地元食堂の“海の幸”にありつける。沿岸の復興工事で慢性的にホテルや民宿の予約が取りにくい場所もあるが、私が震災直後に取材して回ったときのことを考えれば、今はほとんどなんの制約もなく沿岸を訪れることができる。
傷跡を直視すること
新鮮な魚介類のほかに、もう1つ大きな魅力なのが、海の景色の素晴らしさだ。石巻から北の地域は、地理の授業でお馴染みのリヤス式海岸が連なる。
深く入り組んだ湾と海の際ぎりぎりまで切り立った崖が迫る景色は、文字通り絶景だ。特に、春先は海の色が緑色がかり、ときに深い藍色に変わるなど、穏やかな水面を眺めるだけでも十分に価値がある。
ただ、強く意識してほしいのは、美しい景色のすぐ横に、震災の深い傷跡が残っているという点。写真は宮城県女川町の高台から湾を見下ろした景色だ。
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