安倍首相の地元で見えた、アベノミクスの未来:窪田順生の時事日想(1/4 ページ)
参院選の前哨戦といわれる山口補選で自民新人の江島潔氏が圧勝した。今や圧倒的な支持率を誇る首相の地元で、「安倍の子分」なんて呼ばれる人が出て負けるわけがない。ただ地元経済に目を向けると、アベノミクスの未来が見えてくるのだ。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
参院選の前哨戦といわれる山口補選で自民新人の江島潔氏が圧勝した。
今や圧倒的な支持率を誇る首相の地元で、「安倍の子分」なんて呼ばれる御仁が出て負けるわけがない。ただ、ここまでバカ勝ちしたのは、党をあげたかなり力のこもった援護射撃があったからだ。
4月22日には安倍首相だけではなく、弟の岸信夫氏、林芳正農林水産大臣、高村正彦自民党副総裁、河村建夫選対委員長と県選出議員5名がズラっと山口に勢ぞろい。自分たちを幕末に長州藩から欧州に派遣された「長州ファイブ」と重ね、江島氏を入れて「長州シックス」にしてくれ、と集まった5000人の支持者に訴えた。
その時、首相がすごくいいことを言った。
「あの維新で先頭になったのは長州勢なんです。長州から日本を取り戻そうじゃありませんか!」
おっしゃるとおりで、「長州」は歴代首相を最も多く排出、日本の政治を引っ張ってきた。それは今も変わらない。山口で起きたことが、じわじわと全国に広がっていく。だから、「アベノミクス」なんてのも安倍さんの地元・下関を見てみると、その本質がよく分かる。
関連記事
- サラリーマンを喰い尽くす、“タガメ女”ってナニ?
“タガメ女”という言葉をご存じだろうか。一部の人たちの間で話題になっているが、聞いたことがない男性はその女性の正体を知っておいて損はない。なぜなら無抵抗な男性を……。 - なぜマスコミはインチキをしても「ごめんなさい」と言わないのか
普通の企業ならば謝罪会見モノの不祥事が発覚しても、しれっとした顔でやり過ごしている業界がある。言わずと知れた、マスコミだ。なぜ彼らは意地でも頭を下げないのか。そこには一般人にははかりしれぬ“美学”があったのだ。 - 借金大国日本で“踏み倒す人”が急増している理由
国民年金、給食費、授業料、治療費……今、公的な支払いを踏み倒す人が増えている。この背景には、いったいどんな「裏」があるのだろうか? - NHKが、火災ホテルを「ラブホテル」と報じない理由
言葉を生業にしているマスコミだが、会社によってビミョーに違いがあることをご存じだろうか。その「裏」には、「華道」や「茶道」と同じく「報道」ならではの作法があるという。 - なぜ給料が二極化するのか? 年収200万円と800万円の人
景気低迷の影響を受け、給料は下がり続けている――。そんなビジネスパーソンも少なくないだろう。では、今後10年間はどうなのか。リクルートで働き、中学校の校長を務めた藤原和博さんに「10年後の給料」を予測してもらった。 - 「滅亡」を煽らなくてはいけない人々の“オトナの事情”
マヤの予言がハズれてしまった。今のところ地軸はズレていないし、太陽フレアによる磁気嵐も起きていない。テレビなどで「人類が滅亡する」という人がいるが、なぜ彼らはそんなことを口にするのか。その背景には、“大人の事情”があるからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.