中国人とロシア人の「本音」がよく分かる、「逆さ地図」ってナニ?:窪田順生の時事日想(2/3 ページ)
日本海を中心に南北を逆さにした通称「逆さ地図」を見たことがあるだろうか。その地図を見ると、中国やロシアの「本音」が分かってくるのだ。
「逆さ地図」で見ると、日本は「邪魔」
普通の世界地図だと、日本のナナメ上にロシアがでーんと広がっているので、自分たちが邪魔をしているなんて意識はないが、「逆さ地図」で見ると、かなりイラっとする場所に日本があるのがよく分かる。はっきり言うと、邪魔なのだ。
そんな邪魔くさい島のなかで唯一ストレスなく通れるのがサハリンと北海道の間。つまり、宗谷海峡だ。
ここを抜けて、択捉島の脇にある択捉水道を通って太平洋に出るという選択肢しかウラジオストクにはない。こういう唯一の海上交通路(シーレーン)を自分たちだけでガッチリ握っておきたい、という強い気持ちが国家にはある。
「どこでもドア」が発明されない限り、石油やらの資源の運搬は海路に頼るしかない。シーレーンを握られたらかつての日本みたいな兵糧攻めに合って、どんな国でもたちどころに滅ぶ。
ソ連人はそれをよく分かっていた。だから、日本が敗戦したのを見計らって、宣戦布告して火事場泥棒のように樺太を奪い、北方四島もぶんどった。彼らはそこで略奪や虐殺をしたが、それは結果であって、目的はあくまでシーレーンの確保だ。
さらに本音を言えば、東北まで攻め上がるつもりだった。北海道と東北を握れば、津軽海峡というもうひとつのシーレーンも頂戴できる。きたるべき米国の戦いを考えると、これは欲しい。だから、日ソ中立条約なんて丸めてポイとなるわけだ。
四島だろうが、二島だろうが、千島列島を日本にポーンと返しますよ、ということは国際ルールを踏みにじってまで確保したシーレーンを危険に晒(さら)すということだ。いくら冷戦が終わったとはいえ、ロシア人はそんなにお人好しなはずがない。
このようなロシア人の心理は、日本を「目の上のタンコブ」のように思っているもうひとつの国を見ても容易に想像できる。
中国だ。
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