松井秀喜と巨人の「和解」、それは長嶋茂雄との師弟愛:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/3 ページ)
多くの野球ファンが感動した長嶋氏と松井氏の国民栄誉賞授与式。この日は同時に松井氏と巨人とが和解した歴史的な日でもあった。ただし、この和解が新たな火種にもなり得るという。
「松井次期監督」に不満を抱くのは……
このまま松井氏はスンナリと巨人の監督に就任するのだろうか。残念ながらこれには、どうしてもまだまだ「?」がつきまとう。各マスコミは「今オフにも監督就任」、あるいは「来季から、まずはコーチとして入閣」などと報じているが、どちらにしても松井氏の古巣復帰には大きな難題が発生する危険性がある。
ネックとなりそうなのが現指揮官の原監督の去就だ。今季は2年契約の最終年とはいえ、2012年に続いて日本一連覇を成し遂げれば「続投」の流れが現実味を帯びてくる。松井次期監督にバトンを渡すため、巨人側は原監督に「ハイ、お役ご免なので今季限りで勇退してください」とはいくらなんでも言えないだろう。
すでに渡辺会長は「お父さんには言っておいた」と松井氏の父、昌雄さんを通じて同氏の監督就任要請を行ったことを明かしており、まずは原監督のもとで帝王学を学ばせたい意向も持っているが、そのコーチ入閣に関しても難しい問題が出てくる。
「仮に松井氏が原監督のもとで来季からヘッドコーチに就任したら、世の中の注目は松井ヘッドコーチの一挙一動に集中する。原監督よりも松井ヘッドの一言のほうが各メディアに大きく扱われるのは間違いないだろう。そうなれば『監督』と『ヘッドコーチ』の立場が逆転してしまうことにもなりかねない。原監督だって、やりにくくなってしまうはず」(別の球団関係者)
原監督はただでさえ、自分を差し置いて「松井次期監督」の名前ばかりが取り沙汰されている現状に不快感を抱いているとも聞く。それも当然の話だ。
巨人側は松井氏の専属広報を務めた広岡勲氏を球団代表付アドバイザーとして招へいするなど「ゴジラ復帰」の道筋を着実に整えつつある。長嶋氏が「仲介」したおかげで障壁もなくなった。だが周囲をまったく顧みずにブルドーザーのごとく突き進めば、思わぬマイナス面を生み出すかもしれないということを肝に銘じておかなければならない。
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