ホンダはなぜ、F1復帰を決めたのか――社長会見を(ほぼ)全文収録(2/5 ページ)
2008年にF1から撤退したホンダが、2015年、マクラーレン・ホンダとしてF1に復帰する。なぜ今復帰を決めたのか、ワークスチームではなくエンジンサプライヤーとして参戦する理由は? 緊急記者会見の模様を詳しくお伝えする。
何よりも、ホンダは創業以来、レースに参戦し、勝つことで成長してきた企業です。私は、世界中のお客様がこれまで私たちを応援してくださったのは、私たちがレースに挑み、勝つ姿に共感してくださっているからだということを改めて認識しなくてはならないとも感じています。ホンダのコーポレートスローガンは"The Power of Dream"でございます。このスローガンには、人々とともに夢を求め、夢を実現していくという強い意志が込められています。その意志を持って、ホンダはかつての盟友であり、F1界を代表する名門チーム、マクラーレンとともに再びF1にチャレンジします。世界一を目指し、ホンダの技術力を結集して、F1で一日も早く勝ち、皆さんとともに夢を実現したいと考えています。
このたびの参戦に向けて、多大なるご理解とご協力をいただいた、FIAのジャン・トッド会長、ならびにFormula One Group CEOのバーニー・エクレストン氏には、この場を借りて改めて感謝を申し上げたく思います。わたくしどもホンダにとりまして、今年は四輪車販売を開始してから50周年に当たります。この大きな節目の年に、新たな活動をご報告できたことをうれしく思います。ありがとうございました。
それでは本日、この会見のためにイギリスからお越し頂いた、マクラーレングループリミテッドのCEO、マーティン・ウィットマーシュさんをご紹介いたします。
McLaren Group Limited マーティン・ウィットマーシュCEOのスピーチ
マーティン・ウィットマーシュ みなさんこんにちは。伊東さん、ご紹介ありがとうございます。本日、歴史に残るあのホンダ・マクラーレンF1パートナーシップの、新たな章の幕開けを発表でき、大変光栄に思います。ホンダとマクラーレン、私たちのパートナーシップといえば、成功そのもの。1980年代から90年代にかけて、ともにグランプリ44勝、ワールドチャンピオン18回優勝という栄光に輝きました。1988年には歴代最強のF1レーシングカーである、「マクラーレンホンダMP4/4」を生み出し、アイルトン・セナとアラン・プロストのドライブのもと、16戦中15勝しました。
マクラーレンとホンダは、新たな、非常にエキサイティングな冒険の途につきます。マクラーレンはF1を愛する人々を代表し、ホンダのF1参戦を心より歓迎致します。両者にとって、過去の栄光を背負っての参戦となります。
マクラーレンと同様、ホンダにはモーターレーシングスピリットが脈々と流れています。それは過去の栄光を再び手にしたいという、我々共通の鼓動です。我々は業界をリードする技術、イノベーションを共有しています。世界有数の研究開発力と技術力に下支えされ、サーキットでの結果を出せる、永続的パートナーシップを築き上げていきます。
ホンダは世界の技術の巨匠と称されていますが、その熱意と専門性は、エンジン技術の開発にあるといえます。ホンダは過給エンジンの開発メーカーとして、他社を寄せ付けない卓越性を持ち、F1でさらなる成功を求めるマクラーレンにとっては最高のエンジニアパートナーです。F1は本当に過酷なスポーツで、年々競争が激化しています。しかし我々はこのパートナーシップを必ず成功させ、最終目標である優勝を手にする所存です。強い意志と卓越した技術的知識をもってすれば、いかなる困難も克服する自信があります。
我々、ホンダとマクラーレンには誇るべき実績、すばらしいパートナーシップのもと、世界の最高峰に立った歴史があります。あれから数十年が経ったにもかかわらず、共に刻んだあのF1の瞬間は、今でも語り継がれています。ホンダとマクラーレンはこの栄えある歴史を胸に、再度F1での栄光を手にするときに向かい邁進していきます。本日はありがとうございました。
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