ホット飲料は○○度で売れる! 自販機と気温の相関関係:仕事をしたら“知見”が蓄積された(後編)(1/5 ページ)
「○○度になったらアイスクリームがよく売れる」といった話を聞くことがあるが、自販機にもそのようなデータがあるのだろうか。エキナカ自販機を展開している、JR東日本ウォータービジネスの担当者に話を聞いた。
仕事をしたら“知見”が蓄積された:
記者はあまり企業の発表会や会見の席に足を運ばないタイプなのだが、この人が登壇するということであれば、行かなければなるまい。その人の名はJR東日本ウォータービジネスの笹川俊成さん(営業本部長)だ。会社の社長でも有名人でもないので、多くの人は「誰、その人?」と思われるだろうが、エキナカ自販機についてチョー詳しい人なのだ。
同社が扱う次世代自販機はPOSデータを取得できるので、どんな人が、どの商品を、いつ購入しているのか――という情報が手に入る。そしてそのデータから、「あーではないか? こーではないか?」と仮説をたてて、「じゃあ、やってみよう!」と実行して、その結果を検証する。つまり、仮説→実行→検証を繰り返しながら、知見をどんどん蓄えているのだ。
さて、発表会が終わって、笹川さんに詳しい話を聞こう……と思ったら、弊社(アイティメディア)の記者・M君がいるではないか。あれ、取材? この発表会の記事、いつ書くの? と軽く探りを入れていたら、「このあと、笹川さんにインタビューをお願いしているんですよ」(M君)とのこと。
なぬ! それは正直言って困る。記者が独占インタビューをお願いしようと思っていたのに、3年目のM君に先を越されていたのだ。とはいえこのまま引き下がるわけにはいかないので、恥を忍んでこう言った。「インタビューの席に同席させてもらってもいい? あっ、オレは端っこのほうにいて、邪魔はしないからさ」と。
すると、M君は「いいですよ」と快諾してくれたのだ。さすがはM君! 記者歴3年目にして、ヒット記事を連発している男は、懐が深いのである(誠編集部K嬢:ドイさん、白々しいですよっ!)。仕事が速いM君はすでに笹川さんのインタビュー記事をアップしているので、ぜひ読んでいただきたい。(エキナカ自販機の“常連”を増やせ ビッグデータ活用で新たな挑戦、JR東日本WB)
さて、さて、今回、笹川さんにお聞きしたいのは、これまでエキナカ自販機を分析されてきて、どんなことが分かってきたのか、である。前回の取材から1年以上が経過したが、その後、どんな知見を蓄積しているのか。記者歴20年弱のドイが、話を聞いた。
自販機の売り上げと気温の相関関係
土肥:自販機の売り上げは気温との相関関係がかなり強く感じられるのですが、例えば「○○度になったらホットが売れる」「○○度になったらコールドが売れる」といったデータはあるのでしょうか?
笹川:ありますね。ホット飲料については、気温の要素を取り入れて、商品を切り替えています。以前は「ホット飲料は10月1日から」とか「今年は暖かいから、ホット飲料は11月1日から」といった感じで決めていました。一方、ホットの販売を止めるのも「例年通り、4月1日ね」といった形でした。
数年前に、気温と売り上げの相関関係を調べたところ、最低気温が17度または10度を下回るタイミングで、ホット飲料の売り上げがアップすることが分かりました。なので、そうしたタイミングのときにはホット飲料を増やすようにしています。
もちろん東北と関東では気温が大きく違ってくるので、気温の予報情報を購入しています。私たちはその情報を各エリアの担当者に「最低気温17度または10度になるのは、○○日」といった感じで、事前に伝えているんですよ。で、担当者はその情報を受け、ホット飲料を計画的に投入しています。
土肥:「あ〜今日は暑いなあ。ちょっとコールドを増やすか」といった感じで、商品を詰め替えることはできないのですか?
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