ホット飲料は○○度で売れる! 自販機と気温の相関関係:仕事をしたら“知見”が蓄積された(後編)(4/5 ページ)
「○○度になったらアイスクリームがよく売れる」といった話を聞くことがあるが、自販機にもそのようなデータがあるのだろうか。エキナカ自販機を展開している、JR東日本ウォータービジネスの担当者に話を聞いた。
最近、自販機で注目していること
土肥:最近、自販機で注目していることはありますか?
笹川:自販機が2台並んでいるところがありますよね? スペースがあって、一定の売り上げがあれば自販機を並べているのですが、全く同じ商品を売ってもあまり意味がありません。
私たちはこうした自販機のことを“ニコイチ”と呼んでいるのですが、どのように商品を並べたらお客さまは選びやすいのか。例えば、左側にお茶、右側にコーヒーといった形にすると、パッと見ただけで品ぞろえが分かりますよね? そこで少しずつですが、左側にお茶、右側にコーヒーといったニコイチを試験的に始めています。いまのところ、売り上げも伸びているんですよ。
土肥:ほー。
笹川:これはデータを分析するというよりも、人が自販機の前でどのようにして商品を選んでいるのか、という行動分析に近いですね。なぜこんなことに興味があるかというと、私たちの強みのひとつとして、ニコイチでも商品を自由に並べることができることなんですよ。他社の場合は、自社商品しか置けません。そこでニコイチの中で、どういった商品を並べたらより効果的なのか、といった検証を始めています。
土肥:多くのニコイチは、両方にコーヒーがあって、ミネラルウオーターがあって、お茶があって、といった感じですよね。両方の自販機を見て、「自分がほしい缶コーヒーはどこかなあ?」といった感じで探す人も多いのではないでしょうか。
笹川:だと思います。そこで、例えば、左側にはお茶を多く並べて、右側にはコーヒーを集中させる。そういった形で商品を並べたほうが、お客さまは買いやすいのはでないか、という仮説を立てています。
土肥:他社は自社商品しか置けないという事情があるんですよね。でもニコイチであれば、左にお茶、右にコーヒーといった形で並べることができるのではないでしょうか。
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