もう止めないか? 実態と違う、日本独自の燃費“規格”:相場英雄の時事日想(2/3 ページ)
「1リットル=30キロメートル達成!」――こんな広告を見るたびに、不信感を覚える人も多いのでは。広告やカタログに載る燃費と、実際にユーザーが走行した際の数値に大きな隔たりがあるのに、なぜ日本は独自の燃費規格を掲載するのだろうか。
日本の“燃費”がどうしてカタログとユーザーとの間で隔たりがあるのか、私はこれまで以下のような記事を書いてきた(参照リンク)。
→燃費5キロ、それでも「エコカー」を名乗る不思議(JB PRESS)
要約すると、日本はメーカー寄りだと疑わざるを得ない基準でカタログ燃費をはじき出しているのでは、という内容だ。私が主張するまでもなく、自動車ユーザーの間ではこんなサイトがクルマ購入時の大事な要素、実燃費のモノサシの1つとなっている(参照リンク)。
ただ、全てのユーザーがこのようなサイトを参照しているわけではない。このため、「カタログ燃費と違うじゃないか」と消費者がクルマの営業マンに不満をぶつけているのではないだろうか。ひいてはこれが、業界団体が冊子作成に動いた背景にあるのではないか。
欧米並みの基準作りが先決
冒頭のメール、アナリストの言葉に戻る。なぜ自動車分析のプロが“悪い冗談かと思った”のか。それには明確な理由がある。話は簡単だ。
メーカー有利と受け止めざるを得ないような現状の燃費基準を、ユーザーが納得できるような基準に改めれば良いだけである。
自工会の冊子でも触れているが、クルマは走行する状況で燃費が変わる。例えば、ストップ&ゴーの多い市街地では往々にして燃費は落ちる。逆に、一定速度で長時間走行する場合は燃費が伸びる。だが、日本の燃費基準の場合、極端な言い方をすればどんぶり勘定的な指標が使われているため、こうした走行状況の違いが反映されにくいのだ。
「日本では、JC08モードというモノサシが1つだけしかない。これがユーザーに誤解を与えやすい下地となっている」(証券会社の自動車担当アナリスト)。以前は「10・15モード」という測定方法で燃費を表示していたが、実際の数値とは差があったので、2011年4月からJC08モードを導入したのだ。
ちなみに米国の場合は「市街地モード」「ハイウエイモード」の2種類がカタログ燃費として提示されている。つまり、これが走行状況に応じて燃費を図るモノサシになっているわけだ。
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