最近、自宅を“開く”人が増えている――その魅力とは:これからのことがよく分かるコラム(4/5 ページ)
自宅の一部を開放して、地域の人たちや気の合う仲間と交流の場をもつ人が増えています。なぜそのような現象が増えているのでしょうか。取材をすると、興味深い実情が見えてきました。
郊外住宅地で30軒が一斉に家を開くイベントも
広島にある「五月が丘住宅地」は30〜40年前に分譲された、郊外ニュータウンの象徴のような街です。住民は50〜60代中心。ここで年に1回ゴールデンウイークに「五月が丘まるごと展示会」が開催されています。団地内の住人が自宅を開放し、趣味や特技を生かした作品展示やお茶会、映画上映会などを開催。実に30を超える一般の家々が参加しています。
「参加テーマは何でもいいんです。『趣味でこういうのつくってるんだけど、参加できるかな?』という感じで、気軽に参加してもらえれば。規則に縛られるのは嫌なので、始めるのも止めるのも、お休みするのも自由です」――。こう話す60代の女性。この女性は「イベントに参加してから、人生がガラッと変わった」と言います。彼女は結婚してからずっと専業主婦で、義理の親の介護や、2人の子育てをされてきました。50代のある日、彼女は「この5年間、何も生活は変わらなかった。次の5年間も、何も変わらないんだろうなあ」と思ったそうです。
そんな中、数年前にこの自宅展示イベントに参加。「多彩な趣味を持つ人たちがたくさんいたので、それがとても素敵に見えたんです。自分も映画や英語などの趣味がありましたので、それを生かせたらいいなあと思っていました。そんな矢先、地元のミニFMでパーソナリティを募集していたんです。思い切って訪ねて『自宅で年間400本以上、映画を観ている」と伝えたところ、映画紹介のパーソナリティに採用されました。それからは知り合いがどんどん増えていって、外に出るのが楽しくて楽しくて。50代になって初めて運転免許を取りました」
家を開くことは、時に新たな化学反応を起こします。今まで全く知らなかった人たちとの出会いが増え、その結果、人の人生の行方にまで影響をおよぼすことも。
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