コラム
日本経済の成長戦略には規制撤廃しかない:藤田正美の時事日想(3/3 ページ)
安倍政権が期待しているほど、日本経済の先行きが明るくなったわけではない。世界経済にはさまざまなリスクがあり、当然のことながら日本も無縁ではないのだ。
日本経済の成長戦略には規制撤廃しかない
最後はやはり日本である。日本の問題は、経済の成長力をいかに回復するかということだ。高齢化が進み、人口が減ることで、日本の潜在成長力が下がっている。そうなると企業は、日本での生産に慎重にならざるをえない。2013年第1四半期でも企業の設備投資は依然としてマイナスだ。要するに企業は、日本市場の成長性に疑問符をつけているのである。
為替が円高だから企業は海外に工場を移転したが、為替が円安になっても工場は戻ってこない。その最大の理由は日本市場そのものが停滞しているからだ。自動車を考えてみれば分かりやすい。国内の自動車販売は1990年に780万台だった。これがピークだ。昨今は500万台を切っている。そして大事なことは、この水準が大幅に切り上がる可能性はまったくないということである。これでは企業が国内の設備投資を増やせるはずがない。
そのような状況の中で、日本経済が成長しようとすれば、規制緩和というか規制撤廃しかあるまい。それを成長戦略の要にすべきだと思う。まもなく発表される成長戦略が、果たして規制撤廃にどう取り組むのかが注目されるところだ。
しかも注目しているのは、国民だけではない。海外のメディアや投資家も、成長戦略にどれほどの説得力があるかを見守っている。もし説得力のない作文にしかすぎないものが出てくれば、日本株はかなりの確率で売られるだろう。そうなったら、現在は自公が圧勝とされている参院選の行方も分からなくなる。
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