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富士山行きの鉄道は実現するのか――過去の歴史は「観光VS. 自然」でせめぎあい:杉山淳一の時事日想(6/6 ページ)
世界文化遺産登録が確定的となった富士山で、登山鉄道の動きがある。富士登山鉄道の構想は1910年から始まり、現在まで何度か立ち上がっては消えた。そこには自然保護運動との対立の歴史がある。
富士登山鉄道について、「鉄道はクルマより環境負荷が低い」というだけでは実現は難しいだろう。確かに鉄道は道路よりも環境負荷は小さい。しかし、環境負荷をゼロにはできない。本当に環境を考えるなら「鉄道も道路もやめたほうがいい」となるからだ。自然環境破壊の根源は、クルマや鉄道ではなく、それを利用する人間たちである。半端な開発をするくらいなら、道路も鉄道もやめて自然を保護、回復したほうがいい。
それでも、ほとんどの日本人は富士山が大好きだ。世界の人々にも好きになってほしい。見に来てもらいたい。その最適な道具は五合目までの登山鉄道だ。富士スバルラインが妥協の産物だったように、富士登山鉄道は新たな妥協の産物かもしれないけれど。
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