中国「アヒルちゃん」パクリ騒動と「キユーピー」の共通点とは?:窪田順生の時事日想(1/3 ページ)
中国で「アヒルちゃん」のパクリ騒動が起きている。オランダ人が制作した巨大な子アヒルのアートが中国の各都市で宣伝に利用されたり、商品化されたり。また中国か……と思われるかもしれないが、実は日本でも似たような仕打ちをしているのだ。それは……。
窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
中国で「アヒルちゃん」のパクリ騒動が起きている。
きっかけは、オランダ人芸術家のフロレンティン・ホフマンさんが制作した巨大な子アヒルのアート「ラバー・ダック」が中国の各都市で宣伝に利用されたり、商品化されたりしたことだった。
「NOKLA」や「HiPhone」なんて冗談みたいなロゴのついたスマホが当たり前のように流通している国なので、アヒルのキャラぐらい屁のカッパというわけだが、気の毒なのはホフマンさんである。
これ以上パクったら法的措置も辞さないと息まいてみたものの、馬の耳に念仏という感じで、続々とアヒルがつくられている。
そこにはクリエーターへの尊敬も、感謝もない。いやはやひどい国だ、と思うかもしれないが、実は我々もある世界的なキャラクターをつくったクリエーターに似たような仕打ちをしている。
それは、ローズオニールさんだ。
は? 誰それ? とクビを傾げるかもしれないが、日本人にもなじみ深い「キューピー」をつくった米国人女性のことだ。
彼女が天使をモチーフにしたキャラクター「キューピー」を雑誌で初めて発表したのは1909年。かわいらしいビジュアルのキャラクターたちがおりなす心温まるストーリーはすぐに人気を博し、1912年には人形が発売され、欧米を中心に世界的なブームになったのである。
マンガ、アイスの広告……さまざまなところに彼女の「キューピー」は使われた。いわばキャラクタービジネスのパイオニアである。特筆すべきは、1925年に彼女は「キューピー」で溢れ返る夢の楽園、つまりテーマパーク構想を発表していることだ。ウォルト・ディズニーが、例のネズミを発想したのが1928年、ランドができるのはそこからさらに27年かかっている。すさまじい先見性といえよう。
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