番組を動画サイトにアップ、どう思う? テレビが面白い理由:田原総一朗VS. 水道橋博士のテレビと著作権(後編)(1/7 ページ)
ソーシャルメディアが普及したことでネット上にテレビ番組についての感想や批評を記す人たちが出てきた。テレビ番組の引用はどうあるべきなのか。田原総一朗さんと水道橋博士が語り合った。
テレビとインターネットの関係を考える田原総一朗さんと水道橋博士の特別対談の後編をお届けします。ソーシャルメディアが普及したことでインターネット上にたくさんのテレビ番組についての感想や批評を記す人たちが出てきました。しかしインターネット上でテレビ番組を引用することはなかなか難しいのが現状です。テレビ番組の引用とはどうあるべきか。そしてテレビ番組の次のチャンスはどこにあるのか。一緒に考えていきましょう。
プロフィール:
田原総一朗(ジャーナリスト)
1934年4月15日生まれ、滋賀県出身。早稲田大学文学部卒。岩波映画を経て、東京12チャンネル(現:テレビ東京)に勤務。ディレクターとして製作した「ドキュメンタリー青春」シリーズでは取材対象者に肉薄する独特の取材手法で注目を浴びる。77年よりフリー のジャーナリストに。現在、評論家、ジャーナリスト、「朝まで生テレビ」の司会者として活躍中。田原総一朗の公式サイト
水道橋博士(タレント)
1962年8月18日生まれ、岡山県出身。86年にビートたけしに弟子入りし、翌年、玉袋筋太郎とともにお笑いコンビ「浅草キッド」を結成する。テレビやラジオを中心に活躍の場を広げる一方で、ライターとしての才能を開花させ、雑誌にコラムやエッセイを執筆する。近著に電子書籍「藝人春秋」がある。現在、文藝春秋の週刊文春で「週刊藝人春秋」を連載中。水道橋博士の「博士の悪童日記」
ネットを通じて視聴者のリアクションに直接触れられる
水道橋:田原さんって、ご自分でYouTubeに上がっているご自身が出演された番組を検索して見ることってあります?
田原:ええ。ただ自分で検索して見るというより、娘が探して見せてくれるんだけど。僕は自分が出た番組を自分から見返すって1度もやったことがないんです。僕はテレビディレクターだからね。キャスターとかタレントさんは自分の番組をあとから見返したりするけど、僕はしないんですよ。
水道橋:テレビマンって、番組は放送したらそれで終わり、って感覚があると思うんですが、自分が出た番組が世間にどのように影響を与えるか観測したくなったりはしませんか? 僕はそうなんですけど。
田原:僕が番組をやると、例えばBSだとTwitterでは600件から800件、多いと1000件くらいの反応が返ってくる。だからVTRは確認しないけど、ネットの反応に関しては気にしているかな。
水道橋:反応やら反響やら波風を立てるのが好きですもんね(笑)。無反応で、無難で、何も反響がないなんて嫌じゃないですか。
田原:例えば、このあいだちょっと入院していたんだけど、この時もTwitterでいっぱい反応が返ってきたんです。「ずっと点滴だったけど、重湯みたいなものを栄養源として口にして、久しぶりに食事をした」とTwitterに書いた。そうするとだいたいの人は「よかったね」と返してくれるんだけど、中には「田原なんて早く死ね」と返してくる人もいた。だから僕はその人に「残念ながらそう簡単には死なないんです」と返したわけ。僕はそういうのが好きなんでね(笑)。そうしたら「田原なんて早く死ね」って書いた人のTwitterが炎上したね。そういう意味では面白いね。無難じゃないからね。
水道橋:テレビに出ている人からすれば、視聴者の反応って以前だったら事務所というフィルターを通してから感じるもんだったと思うんです。でも最近は、もうTwitterで直接ガンガン視聴者のリアクションに触れられるじゃないですか。
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